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推定年齢512歳。世界最高齢の脊椎動物とされるサメが北大西洋で発見される

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Photo credit:Hemming1952 / WIKI commons

 日本だと室町時代後期、織田信長が生まれる約30年も前からこのサメは生きていたということになる。なんだかすごいぞ。

 北大西洋で現生する世界最高齢の脊椎動物と目されるニシオンデンザメが発見された。数ヶ月前に発見されたサメであるが、この度『Science』に掲載された論文でその年齢が明らかにされた。

 博士論文の提出を控えたジュリアス・ニールセン(Julius Nielsen)氏のチームが発見した体長5.4メートル以上もあるニシオンデンザメは、調査の結果、512歳に達することが判明したというのだ。

Oldest Shark in the World – 512 Year Old Greenland Shark

ニシオンデンザメの寿命は400年以上、512歳に達するものも。

 2017年の初め、ノルウェーのトロムソ大学のキム・プラエベル教授はニシオンデンザメの寿命が400年もあることを発見。

 水晶体と角膜の大きさは年齢と相関関係があるが、これを数学的モデルを用いて解析し、個体の年齢を推定することができるのだ。

 しかし最新の研究から、実際にはさらに長生きできるらしいことが明らかにされていた。

 ニシオンデンザメはオンデンザメ科最大のサメで、毎年1センチずつ成長するために、その大きさが分かれば年齢を推定することができる。

 28匹のニシオンデンザメの大きさ計測した結果、そのうち1匹は1505年生まれと推定された。年齢にすると512歳となる。

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image credit:Julius Nielsen

きっちり1時間と7分で、衛星タグがニシオンデンザメのメスからデータを送ってくる。

水面に浮上してARGOSと通信を確立したら、過去3ヶ月分の位置と温度の情報を送信。明日の朝までには、データが来るといいな。それで4週以内に博士論文を提出できる。

論文の締め切り以外は、どれも次の条件次第だ。

1) サメが海氷の下にいない(衛星との通信が阻害されてしまう)

2) サメのいる海が大荒れではない(タグがきちんと大気中に露出されなくなる)

3) サメが2000メートル以上深い海に潜らなかった(タグが潰れてしまう)

ついでに出しゃばりな動物がタグを食べていないことも必須だ。実は前回そんなことがあった。成功するといいな。

ニシオンデンザメの胃袋にはホッキョクグマの死骸が

 カナダからノルウェーにまたがる��西洋の深海で見られるニシオンデンザメは、時にホッキョクグマの死骸を食べることもあるようだ。

 9月、ニールセン氏はニシオンデンザメの胃袋から取り出したホッキョクグマの写真を投稿し、「サメが襲ったのだとは思わない」とコメントを寄せている。

死体を発見した可能性の方がずっと高い。ニシオンデンザメの胃の中からホッキョクグマが見つかることは極めて稀。ホッキョクグマはニシオンデンザメにとって重要な食料源ではないと考えられる

地球上最高齢の脊椎動物である可能性

 プラエベル教授は、ニシオンデンザメの長寿遺伝子から人間をはじめとする様々な種の寿命について知見を得ることができないか研究してきた。

 「地球上最高齢の脊椎動物」と同教授。「研究者仲間と協力して、その核ゲノム全体のシークエンシングを実施している。ニシオンデンザメが他のサメはおろか、あらゆる脊椎動物よりも長生きする理由を解明する手がかりとなるだろう」

長寿遺伝子の研究によりその生態も判明

 また長寿遺伝子の研究によって、その生態についても判明したことがある。

 「ニシオンデンザメは数百年生きるため、長距離を移動する十分な時間がある。遺伝子解析の結果からまさにそれが裏付けられた。調査対象となったほとんどの個体は、数千キロ離れた場所で捕獲された個体と似たような遺伝子を持っていた」(プラエベル教授)

 「ニシオンデンザメの繁殖地や方法は不明だ。しかし今回の結果から、大西洋のフィヨルドの奥深くで繁殖行動に及ぶだろうことが示されている」

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image credit:Julius Nielsen

 では一体どのようにすれば、これほどの年月を生きることができるのか?

  それは非常にゆっくりとした代謝と彼らが暮らす水の冷たさにあると推測されているが、今だまだ謎に包まれたままだ。

 もし本当に512歳だとしたら世は16世紀。ヨーロッパでは中世的な世界観に変わり長らく信じられてきた天動説を覆す地動説がニコラウス・コペルニクスにより発表された頃だ。

 でもって日本は室町時代末期で世はまさに戦国時代を迎えようとしていた時である。そんな長い年月を生きられるなんてすごいな。地球ウォッチングはこれだからやめられない。

References:sciencemag / outerplaces / livescience / ibtimes/ translated by hiroching / edited by parumo

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この記事へのコメント、120件

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  1. そんな昔からいるなら海の中の生物もだいぶ変わっただろう。このサメはそれをずっと見届けて来たんだよな…(あいつら、いつの間にかいなくなったな)とか絶滅した生き物を思い出したりしてるんだろうかw

    1. ※1
      人間がカゲロウ見てるような感覚なのかねえ
      これだけ寿命が長いと体感時間も違いそうな気がする

      1. ※37
        このサメから見たら人間はカゲロウみたいなものなんだろうな

  2. すごいなー。見た目がもう化石みたいになってるね。どうか悪い人間の手に掛からず天寿を全うしてほしい。

  3. 研究するのは十分わかるが、以前長寿の生き物をするめに変えて
    無理やりあの世へ送り返したミスあるのでなるべくならそっと
    しておいてほしいと思うぜ

  4. 植物以外でこんなに生きる生物なんて、…まるでシンゴジラみたいだ

  5. 本もテレビもネットもなしで500年とか、彼はなにを思って生き続けてきたのだろうか。

    1. ※10
      海の中ってテレビやPCなんかどーでもよくなる位のエキサイティングな日常なのかもしれない

  6. 世界最高齢の貝を年齢調査のため死亡させるって前あっただろ
    今回もそれやったわけ?

    1. ※13
      あれは気候変動の調査のために少量採取した貝を年齢調査したら、たまたま今まで知られてた中で最高齢だった、ってだけじゃなかったかな。

      貝は長生きしてもあまりサイズ変わらないから、長寿の貝が食卓に上っててもおかしくないとか。

      まぁ、調査して初めて長寿だって判明して価値が付くわけだから、調査の善悪ってのは簡単に判断できないかなぁ、と。
      可能な限り傷とか負わせないように配慮するくらいで。

  7. こうした調査は必要なんだろうけど、同時にストレスを与えて寿命を削ってしまっているんじゃないかと、いつも思う。
    いつだったかも、推定400歳のシジミを捕まえて、死なせてしまった事があったよね。

    1. ※14
      逆に言うと、それだけ高齢の生物をポックリ殺すことのできる「ストレス」ってのは相当な毒なんだよな・・・

    1. ※15
      あなただけ長生きすると恐ろしいぞ。
      大好きな人たちを何人も見送らないといけないことになるぞ。

      このオンデンザメさんは孤独に耐えうる強い精神を持っているんだ。
      もしくはすげー無頓着か。

      1. ※34
        オンデンサメ同士は皆長生きなんだから、孤独とかあんまりないんじゃないか?

  8. いたずらに検査しても年齢がある程度判断できただけで、
    長寿の~とか万病に~とかの可能性はものすごい低いんだろうなぁ
    人類としてはやったほうがいいんだろうけど、��メとしては確実に障害だから
    なんか色々と考えちゃうよな

  9. すごい!これだから海はUMAだったり不思議な生き物がいそうで魅力的なんだよ!
    生きてるうちにもっと不思議な生き物やすごい生き物をたくさん見れたらいいな

  10. 数年後、ある研究機関がこのニシオンデンザメの長寿遺伝子を他の生物の遺伝子に組み込む技術を生み出す。マウスを使った実験を経て実用化された長寿技術は世界の富裕層の間に広まり、世界には所得格差ならぬ寿命格差が生まれた。そんな中、ある遺伝子学者は長寿遺伝子の決定的な欠陥を発見する――。
    カラパイアが送る近未来SF!ヒューゴー賞、ネビュラ賞を達成した傑作がついに文庫化!!

    という具合に夢が広がるいい話。

  11. オンデンザメさんといい、ガラパゴスゾウガメさんといい、大きくてゆっくり動く動物は長生きなんだね

  12. マジか?!
    正にカラパイアのキャッチコピー、不思議と謎の大冒険だな

  13. 「彼らにとっては急いでいるんですよw」
    ノソノソ動いてるコアラを見てる飼育員の言葉
    動物は各々の時間を一生懸命生きている。

  14. 長寿の理由はすでに解明されてて、水温が0度に近く化学反応(代謝)がとても遅い

  15. 確かほとんどが寄生虫とかで目は見えなくなってるんだよね。どうやって生活してるのかしら。

  16. 親しかった100年来の友人も、付き合ってた彼女も奥さんも
    みんな死んじゃったんだぜ。そんなの悲しいじゃないか。

  17. 長生きには冷水???
    そうだ!水風呂だ!!
        「うっ・・------」

  18. 不老長寿の薬を自分に使った学者が、どんどん自分の動作が遅くなるのに絶望して自殺するってSFがある。オチは遺書を書いてる状態でほとんど止まってしまい博物館に展示されてしまうというものだったよ。

    非常に長生きって言っても自覚する時間の速さ?が違うんじゃないかな。

  19. ウニも100年単位で生きていたり一部の甲殻類は脱皮する続ける限り成長し続けるとか空気中より海中の方が生命活動には有利な部分が多いのだろうか
    単純に哺乳類と魚類・甲殻類他の比較は出来ないのかも知れないけれど、体温維持する為にエネルギーの消費が大きいから身体の負担が大きかったり、浮力が無い分身体を支えるのに必要な力も大きくなるとかの影響かな

  20. 戦時中はUボートを見て「なんか最近でっかいサメがいるな」とか思ってたりして。

  21. ホッキョクグマを食べたニシオンデンザメは胃袋解体されちゃってるんだよね・・・。
    謎は解明したいとは思うけど、そっとしておいて欲しいな。まだ小さな若い個体でも、これから何百年もずっと生きる可能性を持っているのだし。

  22. ぜひ長生きしてくれよ…
    研究チーム以外の人間が接触しないといいのだけど
    サメを映画なんかから受けたイメージだけで殺しまくる連中がいたりするからな

  23. 自作の読み物で730年くらいに渡る一振りの刀に纏わるお話を書いてるんだけど、
    それの第三編がまさに戦国時代初期でこのニシオンデンザメが生まれて少しの時代なんだ。
    その辺の時代を調べまくって「生まれた時代が悪かった」と言うことを軸にしてたのだけど、そんな地上のドタドタとは関係なく、悠々と生きて来たのだなぁと思うと宇宙に匹敵する「人間のちっぽけさ」を感じるよ。

  24. 短距離走がいいのか、長距離走が至高か、それは本人しだい
    最後に笑える人生が最高だろ

  25. 成熟が遅いとのことなので体感時間も遅いかも知れませんね。体感時間が遅いと人間も老けにくいわけで

  26. 寿命も凄いが生き残ったのも凄い
    人間で500年間だったら何回戦争と天災に遭遇するんだ

  27. スローライフの極みで繁殖力が低いから一度数が減ったら致命的だよね

  28. 種類は違うけど、切り身の煮付け食べたり、
    サプリ飲んだりするの、申し訳なくなってきた
    ( ;∀;)

  29. 北方民族の好物、仕方ないとはいえ…
    目から寄生虫はみ出してるすごい見た目

  30. サメがこんなに完成度高い生命体ならば 進化はなんで硬骨魚類なんて生み出したんだろう?

    1. ※66
      進化はかならずしも高度化するとはかぎらない。たまたま生まれたのが繁栄しただけ。
      絶滅した生物も多い。硬骨魚類→四肢動物→人類が誕生したあとも、
      古代から進化していない(ように見える)生物は色々あるが深海で生き残った生物が多い。
      むしろニシオンデンザメのような古い生物は絶滅の危機に瀕している。

  31. wiki見たら年間3万頭も捕獲されてるそうだけど、これほど成長速度が遅い生き物をそんなに獲って大丈夫なんだろか??

  32. 性成熟するのに150年かかるそうだ。
    君が大人になるまであと100年待とうとか、ロマン溢るる…

  33. 多くの個体が寄生虫によって視力が失われているらしい
    何も見えないまま、冷たい海中を数百年間ひたすら漂っている……
    体感時間というか、意識があったら耐えられないんじゃなかろうか

  34. そんなにうじゃうじゃいるわけでもなさそうだから、ものすごく繁殖頻度が少ないのかな
    それとも長生きする個体はごくまれなのか

  35. なんかノルウェーあたりでゴロゴロ水揚げされてたけど大丈夫かいな
    保護しなきゃいけなくなりそう

  36. 500年間、死ぬ機会が一度も無かったってのは、どれだけの奇跡なんだろうな。
    事故ないし病気。
    人間だと、生きるほどに劣化する胸腺が免疫系の劣化に繋がり、一定レベル以下になると死ぬようになってると聞くが、
    ニシオンデンザメは生存時間に左右されない、ヤバいほど強力な免疫系を持ってるとか?

  37. 目から寄生虫がビローンてのびててキモい。
    深海だから視覚に頼らなくても良いんだろうけど、触覚みてえ。ら

  38. まるでロンリーダイナソー
    真似できんだろう
    人知れず進化して…
    誰も彼の本当の声を知らない~

  39. 細胞分裂って限界があるようなことを聞いた覚えがあるけど。
    150年くらいじゃなかったっけ??
    500年も細胞が生まれ続ける仕組みがあるってことか。

    >水晶体と角膜の大きさは年齢と相関関係があるが
    これだけが根拠なら、まだ鵜のみには���来ない気もするが…

  40. このサメが生まれた時にはアメリカという国もオーストラリアと言う国もなかった
    このサメが200歳の頃、アメリカという国が誕生した
    このサメが生まれる前から日本はあった

    すげえなって・・・

  41. まるでロンリーダイナソー

    真似できんだろう

    人知れず進化して…

    誰も本当の彼の声を知らない~

  42. 人間にもそれくらい生きてる突然変異がいて、研究対象になるのが嫌さに身を隠しているとか

  43. 頼むからまた人間のくだらんミスやエゴで殺さないでねと思う。
    必要以上に地球に迷惑かけないで。

  44. 深海で一か月くらい
    上から死骸などの餌が落ちてくるのを
    待ってるって言ってた。

  45. ニシオンデンザメ 日本    西洋
    0歳  子供   室町末期  ルネサンス
    100歳 青年   関ヶ原   魔女狩り
    200歳 中年   江戸    近代化
    300歳 壮年   江戸~明治 植民地争奪戦
    400歳 初老   世界大戦
    500歳 老年   インターネット
    こういうことですか!?

  46. 調べたら測定方法が確実性に欠けるから推定272~512歳であくまで最大512歳ということらしいが
    まあ平均値の392歳でも十分すごいけど

  47. オンデンザメは目に寄生虫が付いてて失明してるから何にも見えてないんだと

  48. オンデンザメ「寄生虫との相互関係が長生きの秘訣、目の代償は仕方が無い」

  49. いやある程度育ったら絶対代謝落ちて成長速度も鈍るだろ
    700歳ぐらいなんじゃねえの?

  50. 水晶体と角膜の大きさは年齢と相関関係があるが、これを数学的モデルを用いて解析し、個体の年齢を推定することができるのだ。
     
    生まれてから様子見すれば分かることだし低年齢域でこのモデルは確からしいかもしれないが、高齢域では本���に正しいのか分かったもんじゃない。
    実際に数百年間追ったという調査はないのだから・・・
    あくまでも「推定年齢」にすぎない

  51. もうほとんど本能のみで生きてて、思考というものは欠片程度にしか残っていないだろう

  52. 固体の寿命たけでなく、
    種族自体の寿命も考えてみても人間はちっぽけだな。

  53. ホッキョクグマが入ってたって、
    まさか捌いちゃったの?!貴重な魚を

  54. きっとこの世にはもっと不思議な生き物や不思議なことがあって、発見者がそっとしておこうと公開されてないこともあるんだろうなと思ってる

  55. こういった年齢のニシオンデンザメが発見されるのは北大西洋で、そこは海流の終着地だから古い炭素が集まってくる(確かこの年齢は放射性炭素年代測定使ってる)からこういう結果になるのは必然。普通は年齢に放射性炭素年代測定は使わない。

    そうですよ。。。

  56. うちの20年位生きてる金魚もこんな目してる。
    もう目見えてないのかなぁ。

  57. 眼球ってけっこう脆い器官なんだと思った
    人間も加齢で白内障緑内障、色々問題出てくるもんね・・・

  58. >>毎年1センチずつ成長するために

    こっちのほうがすごくね?
    突然変異で一気にデカくなる奴とかいないんだろうか

  59. 大体この手の長命の主な理由は、代謝速度が非常に緩やかである事に裏付けられる
    代謝速度の低下は、主に水温、運動速度、消化速度などによるが…
    結局生命というのは、細く長く生きるか短くでっかく生きるかしかないのだ
    ゆるやかな生活と体質で長生きするか
    激しくエネルギーを消耗して短く太く生きるか

  60. 多くの人が人間に捕まること、殺されることを懸念してるように、私もそう。

    どうか天寿をまっとうして欲しい。

  61. こんな長い間生き抜いてきた事に敬意を表したいんだ
    でもサメだから「殴れ」と反応してしまうんだ
    一体どうすればいいんだ

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