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PS5 Proは実際のところ買いなのか? 実機プレイレビューで約12万円ハイスペックハードの“PS5 Pro Enhanced”を堪能

by堅田ヒカル

更新
PS5 Proは実際のところ買いなのか? 実機プレイレビューで約12万円ハイスペックハードの“PS5 Pro Enhanced”を堪能
 2024年11月7日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)よりついに発売となるプレイステーション5 Pro(PS5 Pro)。

 従来のPS5シリーズよりも高性能なGPU(画像処理装置)を搭載し、専用のAIアップスケーリング技術“PSSR(プレイステーションスペクトルスーパーレゾリューション)”を搭載。SSDも2TBに倍増され(初期型は825GB、現行型は1TB)、じつにパワフルなマシンに仕上がっている。

 本記事では、SIEより提供を受けたPS5 Pro実機でいくつかのPS5タイトルを遊んだ感想をまとめてお届けする。タイトルにはPS5 Proに特別に対応し描写がパワーアップする“PS5 Pro Enhanced”対応ソフトのほか、非対応ソフトも含まれている。

 なお、ファミ通.comではアメリカ・ロサンゼルスでの先行体験会、東京ゲームショウ2024でのプレイと過去に2度体験リポートを掲載しているので、そちらもお読みいただけると理解が深まることと思う。
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 最初に結論めいた感想を書いてしまうと、
「通常のPS5の時点でもともときれいだと思っていたけど、PS5 Proは想像を超えてきれいだった!」というもの。ううむ、言葉にすると我ながら「そりゃそうだろ」と思ってしまうんだけど、もしも実機を手に入れたらきっとあなたもそう思うはず。

 なお、PS5 Pro対応のゲームタイトルは発売日(2024年11月7日)時点で40本以上。今後も順次追加されるという。

『Marvel's Spider-Man 2』(スパイダーマン2)

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ニューヨークをスイングで移動するのが気持ちよすぎ!

 有名ヒーロー映画を題材とした本作。PS5 Proでパワーアップするのはシネマティックなイベントシーンもさることながら、通常時のアクションシーン。とくに、ニューヨークの高層建築・摩天楼をクモの糸でスイングしながら移動する(ゲーム的には)なんでもないふつうの移動シーンの気持ちよさが増す。

 60インチクラスの4Kテレビでプレイしたのだけど、巨大モニターで遊ぶと街の建物の細部までくっきりと見えて、その中を超高速で移動するだけでも快感が得られる。

 糸を飛ばし、最初は自由落下的にゆっくりと速度が増す。弧を描く円運動の真下に来たとき速度は最高速になり、上昇するにつれてまたゆっくりになっていき、空中に放り投げられ、糸を飛ばすあいだの一瞬の浮遊感。そして始まる自由落下、加速、最高速、減速、浮遊。くり返すスイング。ブランコのように移動するこの動きが、じつに単純に気持ちいい。

 インターネット的表現で言うと「脳汁が出る」。スイング移動は通常のPS5でも脳汁案件なんだけど、PS5 Proの場合は脳汁ちょっと多めに出る。そんな感じだ。
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脳汁!
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脳汁!!
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ニューヨークの建物から出るちょっと多めの脳汁!!!!!!!
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PS5 Proのパワーで部屋の住人もややくっきり(?)。
 イベントシーンも通常以上に精細な描写になっているように感じられる。「映画みたいな映像美!」というのは、これはもうPS2時代くらいから手垢が付きに付きまくっている簡単な表現なので、レビュー記事で使用することを自ら禁じている。ゲームが映画みたいだなんて、20年も前の表現だ。

 だけどもう、これに関しては許してほしい。
まるで映画みたいだ……。
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だって『スパイダーマン』だし!

『Horizon Zero Dawn Remastered』(ホライゾン ゼロ・ドーン リマスター)

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壮大なドラマがよりドラマティックに

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 現���の文明が滅びた後の世界、遥か未来が舞台となっている『Horizon Zero Dawn』。美しい自然の風景と、その中を闊歩する敵キャラクターの大型機械獣が対比的だ。風景がPS5 Proのパワーでさらに細部までくっきりと描写され、リアルでありながら幻想的な『Horizon』の世界は、さらに迫力が増した。

 操作時の没入感もさることながら、特筆したいのはリアルタイムレンダリングで行われるイベントシーン。PS4向けに作られた原作をPS5に、またPS5 Proに向けて最適化するとこれほどまでに美しくなるのかと驚かされる。
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 イベントシーンにおける“ドラマ力”、CGキャラクターの演技でプレイヤーの心を揺さぶる力の強さは、シナリオ・セリフや声優の演技もさることながら、やはりグラフィックレベルがその力の強さに直結している。PS5 Proで本作を遊ぶなら、主人公・アーロイの前に待ち受ける重厚な物語がより深みを増して感じられるに違いない。

 ただし、PS5 Proの性能を語る際によく言われる、“解像度優先モードで遊んでもパフォーマンスモードと同様のコマ数(fps)が出る”という評判は、本作の場合当てはまらなかった。
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グラフィック設定は“解像度優先(Pro)”と“パフォーマンス優先(Pro)”となっており、通常版とは異なるPro仕様になっている。
 解像度優先(Pro)に設定すると、どうもパフォーマンス優先(Pro)よりもコマ数が落ちているように感じられるのだ。今回フレームレートの計測はできなかったため、ここからは推測なのだけど、“パフォーマンス優先(Pro)≒通常版での解像度優先設定の描写でパフォーマンス優先のコマ数”、ということかと思われる。つまり、通常版PS5の設定とPS5 Proでの(Pro)設定を並べて比較すると、
 
  • パフォーマンス優先(通常版)→解像度:低 fps数:高
  • 解像度優先(通常版)→解像度:高 fps数:低
  • パフォーマンス優先(Pro)→解像度:高 fps数:高
  • 解像度優先(Pro)→解像度:さらに高い fps数:低

 ということなのではないかと思う。フレームレートは筆者の感覚値なので恐縮だが、パフォーマンス優先(Pro)では60fps近くが安定して出ているように感じた。

 少しややこしいのだが、イメージ的には「fps数はそこまで気にならないから、とにかくきれいな画面で遊びたい」という人向けに、これまで以上に高解像度の“解像度優先(Pro)”設定が用意されている……ということかと思われる。“(通常版における)解像度優先での高fps”という体験は、“パフォーマンス優先(Pro)”設定が担っているということではないだろうか。

 何にしろ、設定はプレイ中いつでも変更可なので、実際に画面を見比べながら自身の好みのモードを選ぶことになるだろう。

番外編:PS5 Proエンハンスド非対応タイトル

 ここからは、“PS5 Pro Enhanced(PS5 Proエンハンスド)”には現状対応すると発表されていないものの、試しにプレイしてみたソフトでの感想を書いていこう。

『モンスターハンターワイルズ』オープンベータテスト

[IMAGE]※オープンベータテストは現在は終了。
 2024年10月29日~11月4日で行われた『モンハンワイルズ』オープンベータテスト。本機がSIEより届いた際、ちょうどベータテスト実施期間とかぶっていたので、勢いPS5 Proでもプレイすることになった。

 プレイした実感としては、解像度優先よりもパフォーマンス優先設定で遊んだほうがやはり安定して高fpsが出力されており、個人的にはこちらのほうが気持ちよくハンティングが楽しめた。

 解像度優先設定時は、さまざまなオブジェクトやキャラクターが存在するキャンプの中央に立ってぐるっと画面を一回転させてみると多少引っ掛かりを感じるなど、実際の出力において通常版PS5とPS5 Proでさほどの違いは感じられなかったというのが正直なところだ(とはいえ理屈から考えると、PS5 Pro未対応だとしてもPS5 ProではCPU・GPU能力が増しているので、同じ解像度のデータを出力した場合、厳密に計測すると通常版PS5よりもfpsはすこし増しているのかもしれないが、筆者の肉眼では判別が付かないレベルだった)。

 ただし、本作についてはSIEより、

 
「『モンスターハンターワイルズ』ベータテスト版は、PlayStation5 Proには未対応です。『モンスターハンターワイルズ』製品版のPlayStation5 Pro対応については、2025年2月28日(木)の発売に向けて現在検討中の段階です。製品版での対応内容については、今後の情報をお待ちください」

 とのアナウンスが行われており、製品版ではどうなるか未知数といったところ。とはいえ、発売までまだ4ヵ月近くあるわけで、本日2024年11月6日、『ドラゴンズドグマ 2』などのカプコンタイトルがPS5 Proに最適化されるというニュースも発表された。

 『モンスターハンターワイルズ』も、ぜひPS5 Proエンハンスドへの対応に期待したい。
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ベータの段階できれいなのに、もしもPS5 Proエンハンスドに対応したらいったいどうなってしまうんだ……。

『MLB The Show24』

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 こちらもPS5 Proエンハンスド未対応ながら、やはりハイグラフィックでプレイするとそれだけで魅力が一段増す、リアル描写が持ち味のメジャーリーグ公認野球ゲーム。

 バックネット裏の観客ひとりひとりの表情まで見分けられるほどのグラフィックで、2024年シーズンはリハビリのために登板機会のなかった大谷翔平選手をマウンドに送ると、それだけでワクワクする。

 あくまで筆者の肌感覚だが、PS5 Proエンハンスド非対応のソフトは通常版のPS5で遊ぶ場合との明確な違いをそこまで感じ取ることはできなかった。とはいえマシンパワー自体は向上しているはずなので、短時間のプレイでは気づかなかった、高負荷な場面の描写と言った部分で恩恵を受けている可能性はあるかもしれない。

PS5 Pro エンハンスド対応ソフトの見分け方

 ちなみに、PS5 Proに対応しているかどうかは、プレイステーションStoreの詳細ページで“PS5 PRO ENHANCED”マークが付いているかを見るのが簡単。
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ここに注目。

まとめ:ハイエンドな“エンスー”向け家庭用ゲーム機

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今回のプレイレビュー期間までにアプデが行われなかった『グランツーリスモ7』。当初、本作もPS5 Pro発売同日に対応アップデート予定だったが、遅れているとのこと。早くPS5 Proエンハンスド対応状態で遊んでみたい!
 というわけで、PS5 Proで何本かのソフトを遊んだ感想をお届けした。

 くり返しになるが感想を改めてまとめておくと、「通常版PS5でもきれいだったけど、PS5 Proはそれよりさらにきれいでやっぱりすごい!」ということになる。

 ここまで書いていないことでひとつ注意点があるとすれば、接続するテレビ・モニターは4K以上を推奨したい。フルHDサイズ(1920*1080)でももちろんきれいなのだけど、PS5 Proの性能が本領発揮するのは4K以上のモニターにおいてだ。

 筆者はゲームの本質はグラフィックとは別のところにあると考えているタイプなのだけど、それはそれとして、
「きれいな映像がスムーズに動くとそれだけで感動する」というシンプルな事実も肌で感じた。画面が大きくきれいになれば没入感は増す。没入感が増せば感動もやっぱり大きくなる。
 
 たとえば映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』ってテレビの放送で観てもすごくおもしろいんだけど、映画館でリバイバル上映なんてされて、劇場のスクリーンで観るとやっぱり、それはそれで感動は増す。

 映像が美麗になれば、シンプルにアクションはより気持ちよく、物語はより重厚に感じられる。それは人間のプリミティブな、原始的な部分に働きかけるものだ。

 2024年現在、PS5 Proは家庭用ゲームにおけるハイエンド機だと言い切れる。

 他分野で言えば、たとえばオーディオ・ビジュアルの世界において、ハイエンド志向の人は数多くいる。ウン十万円、ともすればそれ以上に高額なスピーカーやウーファー、アンプなどを揃えるのに金に糸目は付けないという人たちだ。

 クルマで言えば高性能スポーツカー。クルマ趣味の世界では、“熱狂的な人”という意味で、“エンスージアスト(enthusiast)”という呼びかたをすることがある。PS5 Proは、そんなエンスーな人向けのハードと言える。
※クルマの場合で言う“エンスー”は旧車趣味や改造趣味の意味合いが強く、シンプルなハイスペック志向とはちょっと異なるけど。
 さて、実際に触って遊んでみた本記事の結論として「PS5 Proは“買い”なのか?」というところについて、以下の様にまとめておこう。

 PS5 Proは、ゲーム・エンスージアスト向けの家庭用ハード。約12万円という価格が話題になりがちだけど、現在最高峰のゲーム体験を求める人、ハイエンド志向な人にとっては、この値段はあながち高価過ぎるものではない、と思う。

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