昨今の人工知能(AI)やロボットに関連するテクノロジーの進歩はめざましい。ほんの少し前までは、少しも役に立たないとバカにされていた検索や案内も、ずいぶん使えるようになった。本物の人間には及びもつかないだろうと思われていた翻訳や読み上げの技術も、今では結構使える。
こんなテクノロジーの発展に呼応して、子どもたちに早くからAIやロボットに関する知識をつけさせようとする動きが出ている。AIやロボットが当然のように人間に交じって仕事をする世界だ。そこで人間が主人であり続けるためには、機械の言いなりになってはいけない。彼らが作動する原理を知り、それらを作り、誤りを修正できねばならない。だから早期からのプログラミングの教育が大事だと言う。
それはその通りだろう。AIやロボットの台頭という事態に対処していくには、それは必要に違いない。しかし、もっと大きな目で見たときには、それでいいのだろうかと疑問がわく。それは、このようなAIとロボットが活躍する世界を描く人々の未来像の中に、自然は一つも入っていないからだ。そして、人間が自然の一部であることは決して変わらないからである。
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