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年間200本のセミナーで知った、成功するプレゼンと失敗するプレゼンの違い

成功するプレゼント失敗するプレゼン
今回この記事で伝えたいことは、これまで様々なプレゼンに関わってきた経験から、プレゼン資料を作る上での成功率を高めるルールというものが自分の中で完成しつつあるので、それらを共有できたらと思います。
これまで携わってきた仕事にある程度関連するので、マーケティング、Web制作、営業、講師、アフィリエイトなどの個人活動やECサイトの運営などに携わっている方がいたら、もしかしたら今後の売上や成果のヒントになるかもしれません。

特に20年ほど前、まだGoogleが産声をあげたような頃は、オンラインではなくオフラインの施策が多く、当時年間200本近く宣伝講習販売という形式のセミナーを行っていました。喉が枯れるまで喋り尽くした経験は、私に売れる感覚と売れない感覚をはっきりと教えてくれたのです。

私がそこで学んだことは、どんな商品であろうと、たった今知ったばかりの商品であったとしても、しっかりと必要性を理解してもらい、そして感情を動かすことができれば、人の行動に変化が生まれ、商品を買うこともある、という事実です。

そのために存在するのがプレゼンという場であり、そこに誕生したツールがプレゼン資料というわけです。

なお、本記事では、当時のセミナー内容を事例としてご紹介しています。あくまでも当時の情報ですので、ご了承ください。
※この記事は、アドビさんの「みんなの資料作成」という企画に参加して執筆しました。

プレゼン資料の役割について


そもそもプレゼンというものは、こちらの要望を聞き入れても���い、こちらの希望するアクションを実行してもらう行為です。したがって、プレゼン資料とは、聞き手に起こしてほしいアクションを促すためのツールということです。

同時に、人が行動を開始するためには、感情の変化が必要不可欠です。なぜなら人は感情によってアクションを起こす生き物だからです。

そのため、プレゼンでは「感情」と「説明」の二つを使い分けることが最も重要です。

多くの人はこうした人間の行動と感情のルールを忘れ、説明のために資料を作ります。
酷いケースでは、説明することが覚えられないので、カンニング用に資料を作る人もいます。これでは、プレゼンのための資料ではなく、資料のためのプレゼンになってしまい、感情が無視された説明になります。
プレゼンが果たす役割は人を動かすこと
「人にアクションを促すための資料」という基本に立ち返ると、意外と難しいことはありません。

「感情と説明」を使い分けて成功したパターンと失敗したパターン


ある程度これまでの体験を通じて、失敗した経験と、これは成功だったなと思える手応えを感じる経験があります。
これらをいくつかのパターンに分けてみました。

成功したパターン


1.人の記憶に残った


セミナーで視聴者が記憶しやすい情報というのは、感情の変化や、頭の中で映像として想像できるような情報です。
商品の説明や資料よりも、商品を使った人がめちゃくちゃ楽しそうにしているエピソードやビジュアルの方が、はるかに脳に残りやすいです。数年前のセミナーの内容を伝えてくるユーザーと会った時、あぁ、あのプレゼンは成功していたのかと実感できます。

2.セミナーの後にすぐに行動してもらえた


スキル系のセミナーでは、いかにそれを早く実践してもらい、体験し成功してもらえるかが良い評価につながり、次のリピートへの繋がりにもなります。
その為、数日後のアンケートですぐに体験レビューがつく場合などは、しっかりとセミナーで「感情」と「説明」を使い分ける事ができたとわかります。

3.最終的なクロージングの前に価格を聞かれた


商品やサービス、学習の「必要性」をしっかりと伝えるためには「感情」の動きが必要不可欠となります。「必要性」が伝えきれれば、クロージングする前に、既に欲しくなっている状態になる事がほとんどです。まだ説得していないのにユーザーの熱量が高まっていると感じる時は、大抵「説明」と「感情」がバランスよく伝わっているプレゼンです。

失敗を感じたパターン


1.事前準備が遅い


失敗したプレゼンの一番の要因は事前準備が足りない場合です。
そしてこの準備が足りない時のほとんどが、初動が遅いことです。これを改善する方法として一番効果的だったのが、プレゼンを実施することが確定した時点で、ひとまず3行書き始めることです。

2.視聴者の興味を最後まで引けない


これはパターンというよりも、成功したパターンの逆です。
記憶に残らない、クロージング前に寝てしまう、退席してしまう、セミナー自体の評価が低い場合は失敗したと感じます。

3.説得に焦りクロージングが早い


「必要性」が伝わっていないのに「説得」に焦ると失敗します。売れない営業マンに共通しているのは、この説得にとにかく焦ってしまい、コミュニケーションが不足している状態でクロージングを仕掛けてしまうことです。

4.話す順番がバラバラ


人の感情は「説明」と「感情」がバランスよく押し寄せることで動き始めます。そのため、適当に「説明」を最初にし続けると眠気が生まれますし、「感情」の部分だけを話し続けても嘘くさくなり、不信感が高まります。だからこそバランスが重要になります。

5.テキストが多すぎる


説明が必要で、ひたすら文章だらけの資料を作ったことがあります。しかし、資料に目が釘付けになると、大切な「話」の部分が耳に届かなくなります。特に感情の部分というのは声の方が届きやすく、重要な感情パートを資料に邪魔されないように作る必要があるなと反省しています。

また、併せて文章をビジュアルに変換できる部分があれば、図や絵に差し替えます。そのほうが数倍頭の中で未来を想像しやすくなるため、積極的にビジュアルを活用していきましょう。

6.色の使いすぎ


宣伝講習販売の時はあまり気にする必要がなかったのですが、Web業界に入ってから、クリエイターやアフィリエイター、リモートワーカー向けのセミナーでは、資料で使う色が多いと、アンケート評価が悪くなる傾向がありました。色を使いすぎることで、資料がごちゃついて洗練されていない印象を与えてしまったのだと思います。

人が行動する理由となる感情を知っておこう


プレゼンシナリオを作る上で重要な要素は、次の12個のうち、少なくとも1個のニーズや欲求を解決するものになっていなければならないと考えています。人が感情の生き物である限り、12個のいずれかの欲求が満たされることで、ようやく変化のきっかけが与えられるからです。
  1. お金を稼ぎたい
  2. お金を節約したい
  3. 時間を節約したい
  4. 努力・行動したくない
  5. 精神的苦痛から逃れたい
  6. 肉体的苦痛から逃れたい
  7. より快適になりたい
  8. より健康になりたい
  9. 褒められたい
  10. 認められたい
  11. 愛されていると感じたい
  12. 社会的地位を上げたい


感情を意識した、理想的なプレゼンの例を紹介します


実際に売りまくっていた時のフレームワークを紹介します。

今回は私が年間200本話していた宣伝講習販売をベースに説明していきますので、皆さんはそれぞれの目的に合わせて考えてみて下さい。

さて、宣伝講習販売の目的は明確で「商品を買ってほしい」わけです。今回は、当時飛ぶように売れたビタミンC剤を紹介してみます。
商品の紹介時にまず考えるべきことは「この商品の必要性」を明確にすることです。

ビタミンC剤という商品の説明だけを考えると、例えば以下のようなものになります。
  • ビタミンC 1000mgで一袋
  • 60袋詰められた箱売りで価格は6,600円

残念ながらこれでは必要性を深く感じることはできません。むしろこれを最初に見ると「高い」と感じる人も多いのではないでしょうか。それはビタミンCの必要性を感じていないからです。
では必要性とは何か。それは、この商品を通じてこの人がどうなっていくのかを提示し、想像してもらうことです。
必要性までの流れ
そのためにはまず中身のビタミンCそのものについて深掘りする必要があります。

より深掘りした情報の整理を行う


※1999年〜2004年の事例で、当時の筆者の主観が含まれます。特にビタミンCは医師法や薬機法(当時は薬事法)に関わる商材のため、最新情報を参考にするようにしてください。またこの記事を通じて世の中にビタミンCをおすすめするものではありません。あくまでもプレゼン資料のシナリオを作るための例として書いています。

私が最初にビタミンCを売り始めた時、本当に売れませんでした。何がだめなのかよくわかっていないということもありましたが、まずはビタミンCを勉強することからスタートしたわけです。そうすると当時以下のような特徴があるとわかりました。

  1. 水溶性
  2. 熱に弱い
  3. 機能的には健康に良い
  4. コラーゲンを作るために必要で肌に良い
  5. 免疫力を高める
  6. 国が推奨する最低摂取量は1日100mgだが美容のためには1000mg必要といわれている
  7. 喫煙はビタミンCの吸収を妨げるうえに、ビタミンCの代謝が早まる

これらの特徴を言い換えることができないものかと考えました。

「ビタミンCは水溶性」
言い換えると体から出やすいもので、蓄積しづらい、可能な限り毎日摂取した方がいいというものにつながります。

「ビタミンCは熱に弱い」
熱処理したものからは摂取しづらいため、肉などに含まれていても、結局は野菜や果物などから摂取する必要がある、ということに繋がります。

「喫煙はビタミンCの吸収を妨げるうえに、ビタミンCの代謝が早まる」
喫煙者は非喫煙者に比べて、より多くのビタミンCが必要。

このように言い換えた特徴を、順番を意識して並べていくと・・・

  1. ビタミンCはコラーゲンの生成に必要不可欠である
  2. コラーゲンはお肌の水分を維持するためにも肌が気になる人は絶対必要
  3. 最低100mg、美容のためには1000mg
  4. 残念だけど体に蓄積しづらいので、毎日取らないとだめだよね
  5. 食事から取るには野菜や果物から摂る必要がある
  6. 野菜や果物から取れる量を換算すると効率の良いイチゴで1日10粒、でもビタミンCはたった100mg
  7. イチゴを毎日10粒食べると1粒60円換算で600円かかる
  8. 食事では、たった100mgを毎日摂取するだけでも30日18,000円かかる
  9. このような結論から美容に良いと言われる1000mgは食事ではちょっと難しい

というビタミンCの必要性を定義することができるわけです。

その人をどう変えるのかを明確にする


ここでやっとこの商品を通じてこの人がどうなっていくのかを提示します。

「10年後も潤いの肌を維持するために、ビタミンCが必要であり、その必要なビタミンCは毎日摂取する必要があり、価格も高い。だからこのサプリメントを毎日飲み続ければ、コラーゲンが豊富な状態を維持できる」と言う未来を提示できます。

ここまで理解してもらえた状態でもう一度商品の説明に戻りましょう。
  • 美容に良いと言われるビタミンC1000mgが一袋ずつ飲める
  • 毎日1000mg飲んでも2ヶ月分あって、価格はたったの6,600円
  • 1日110円。缶コーヒー1本分。
  • 毎日の食事では100mg取るだけでも1ヶ月18,000円かかるので、もしお肌が気になるなら絶対サプリメントで補った方が経済的
  • だから毎日続けられて、ビタミンCを効率的に補える

いかがでしょうか。最初に価格をみた時に感じた印象と、必要性が整理された上で聞いた印象では全く違うものになったと思います。ちなみにあくまでプレゼンの例であり、ビタミンCのサプリを摂取しようなどと主張するつもりは毛頭ありません。

つまり大事なのは、商品の機能や価格ではない、ということです。
その人の生活がどのように変わるのか、今回で言うと美容に良い生活が低コストで手に入る事を伝えることが、商品購入の決め手になるわけです。

ここでようやく、やっとプレゼン資料の作成に繋がります。

プレゼン用の資料作成で意識すべきポイント


資料においては「説明」と「感情」のバランスがとれたシナリオ作成が重要です。
先ほどのビタミンCの流れで、説明には順番が大事であるということがわかりました。
シナリオとは、相手に理解してほしい順番をしっかりと作り上げることであり、可能な限り必要性を理解してもらった上でクロージング(説得や価格説明)を行います。

ところで、先ほどのビタミンCの説明の中に、「感情」も入っていたことにお気づきでしょうか。

例えば「ビタミンCは水溶性」は事実としての説明ですが、「残念だけど体に蓄積しづらいので、毎日取らないとだめだよね」は感情です。

また「ビタミンCはコラーゲンの生成に必要不可欠である」は事実としての説明ですが、「コラーゲンはお肌の水分を維持するためにも肌が気になる人は絶対必要」は感情です。

このように事実説明と感情のバランスを考えて組み立てることが大切です。

▼例
事実説明「1日100mgのビタミンCを摂るためには毎日10粒のイチゴを食べる必要がある」
感情「わかっていても毎日10粒食べるのは流石に大変だよね・・・」

人の感情は感情でしか動きません。こうした掛け合わせ効果によってより効果的に感情を動かすことができるようになるわけです。

「感情」を言葉に変換する学び方


何度もしつこくて申し訳ありませんが、プレゼン資料を作る上で大事なのはどれだけ「事実に基づく説明」と「感情」の二つをバランスよく配合するかです。
ではどのようにその感情をテキストに変換すれば良いのか、という質問も結構いただきます。そこでオススメしたいのが「通販番組」です。
通販番組をこの「説明」と「感情」の視点で騙されたと思って見てください。本当に絶妙なバランスでこの二つが配合されている事に圧倒されるはずです。

例えば先日見た「水歯ブラシ」の紹介回。

事実説明


「とにかく機能がすごい」
「最新で管理も簡単で小さい」
「実は1週間に1回使うだけで汚れを97%カットできる」

感情(感情が難しければ、最初は「感想」と捉えても可)


「すごいツルツルになりました」
「コンパクトですね。旅行や出張にも持っていけますね」
「1週間に1回ならすごい楽ちんで最高ですね」

このように事実と感情が交互に押し寄せます。社内向け資料だと事実情報の共有が主となるため、感情2割、説明8割くらいのバランスが良いですが、通常プレゼンを実施するときは感情5割、説明5割がベストと感じています。

以下のセリフは、かの有名な企業の商品プレゼンです。

iPod最大の特徴は「1000曲入れられる」ことです。これは大きな躍進です。多くの人にとって、それは「手持ちの全曲」です。iPodの最もクールな点は、すべての曲を「ポケット」に持ち運べることです。


もうおかわりですね。そう、Appleです。
スティーブ・ジョブズは、iPodの容量について「これは5Gの容量で1000曲ほど入ります」なんて機能説明はせず、感情で語りました。

今でもそうですが、iPodが当時「5Gバイトである」と記憶している人はほとんどいませんが、iPodが「ポケットに入れて音楽を持ち運べるもの」と記憶している人は沢山います。感情とは人の記憶に深く残り続ける存在であることがここでも学べます。

Youtuberなどで解説系で成功している人たちも、非常に多くの感情の言葉を発します。
例えばオリエンタルラジオのあっちゃんは、最初に「投資と聞いても普通のサラリーマンだったらあんまり聞いたり勉強したりと思わない人多いですよね、私もそう思っていました。」といった共感を示します。これも感情の言葉です。
Youtubeは身近に学べるものが豊富にありますので、すごく勉強になったとか、この商品なぜか欲しくなってしまった、といったシーンがあったら、今一度説明と感情を並べて学んでみてください。

まとめ


今回はプレゼンを作る前の戦略について紹介しました。もっと細かいテクニックや戦術が気になった人にはあまり興味のない情報だったかもしれませんが、私がこれまで成功してきた背景にはこうしたプレゼンが必要不可欠でした。興味があれば是非お試しください。

手始めにまず通販番組を「説明」と「感情」の視点で見てみてください。その計算し尽くされたテクニックとバランスに「まじか」となる事間違いなしです。

よーーーーく思い返してみてください。大好きなYoutuberが「ラーメンすっごいうめー」って言いながら食べている感情の言葉だけで、翌日ラーメンが食べたくなるもんなんです。人間は。

資料の管理でオススメのツール


Acrobatオンラインツール
​​さて、ここまでプレゼンや資料作成のポイントについて紹介しました。
ここからは資料作成に使える「Adobe Acrobat オンラインツール」について紹介しておきます。
作成したパワーポイントのファイルをPDFに変換するためにAcrobatのアプリを仕事で使っている方は多いと思いますが、実はAcrobatがオンラインで使えたという事を知らない人は結構います。

Acrobat オンラインツールは無料版と有料版がありますが、無料版の範囲でもアップしたPowerPointファイルをクラウド上である程度編集が可能です。これは端末にOffice製品がない場合でも有効な手段で、そこからPDF変換電子署名などが行えたり、結合ページ削除分割圧縮などのPDFでちょっと欲しい機能が使えます。特に画像を使いすぎて重くなりすぎたPDFのダイエットにも、PDF圧縮機能がとても便利です。

契約書などの電子サインもAcrobat オンラインツール上で行う事ができます。その上、電子サインを依頼することも可能となっており、フリーランスでAdobe Creative Cloud(Adobe CC)を既に利用しているなら、絶対使ったほうがお得です。Adobe CCやAcrobat Proなど有償版をもっているなら、PDFの文章をPDFの状態のまま直接編集することも可能になります。
Acrobatオンラインツールで電子サイン
セミナーなど出張中の急な編集作業などが全てオンラインで完結できる上、PowerPointを持っていなくとも大丈夫というのが良いところです。

というわけで良いプレゼンライフを。
それでは、また。
@yamada_nt
Posted by@yamada_nt
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