安倍晋三元首相のひつぎを乗せた車に向かい手を合わせる岸田文雄首相(左)。右から2人目は松野博一官房長官=2022年7月12日、竹内幹撮影 「安倍元首相撃たれ死亡」。毎日、朝日、東京、読売、産経、日経の7月9日朝刊1面の大見出しは全て同じだった。1面では6紙とも「民主主義への愚劣な挑戦」(毎日新聞)、「卑劣なテロを糾弾する」(産経新聞)と犯行を厳しく非難する編集局幹部の論文や社説を掲げた。 一方、安倍晋三元首相の評価に関する記述は分かれた。第2次安倍政権時代、特定秘密保護法や集団的自衛権行使容認、共謀罪などの政策に関して、メディアは賛否二つに分かれた。当コラムも「安倍政権下で顕著な『朝毎東』『読産日経』二極化」(2015年9月4日)と指摘した。それがよみがえったと感じた。 分かれたメディアの評論 読売新聞7月9日朝刊は1面編集局長論文で「どのような考えの人に対しても正面からの議論をいとわない