山口周

慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修了/電通、BCG等を経て、現在は独立研究者・著作家・パブリックスピーカー/世界経済フォーラムGreat Narrative Initiativeメンバー/J-WAVE番組ナヴィゲーター/一橋大学・神山まるごと高専他の教員/ピアノ弾き

山口周

慶應義塾大学文学部哲学科、同大学院文学研究科修了/電通、BCG等を経て、現在は独立研究者・著作家・パブリックスピーカー/世界経済フォーラムGreat Narrative Initiativeメンバー/J-WAVE番組ナヴィゲーター/一橋大学・神山まるごと高専他の教員/ピアノ弾き

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こんにちは皆さん、山口周です。 このサークルでは、わたくし山口周の日々の研究活動から得られた仮説や発見を共有したり、あるいは現在進行形の著作のプロットや書きかけの原稿を開示して意見を交換するような「仮想空間上の研究室」のような場所にしたいと考えています。 SNSには投稿しにくい初期段階の考察や、作成途上の未完成の原稿も積極的に共有し、皆さんからのご意見を頂きたいと思います。 テーマとしては「経営科学と人文科学の交差点」を主軸に 1:これからのビジネスのあり方 2:これからの社会のあり方 3:これからのキャリアの考え方 を三つの柱としていきたいと思いますが、時事折々に合わせて様々なテーマについて発信していきたいと思います。 どうぞよろしくお願いいたします。

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なぜ「上司の説得」はムダなのか?

よく「環境関連のビジネスを提案してるけど上司が認めてくれない」「クリティカル・ビジネスのアジェンダを提案しているけど会社が認めてくれない」という悩みを聞きます。 この悩みの先には、必ず「どうやったら上司を説得できますか?」という質問が来るのですが、常に答えているのは 説得というのは、人間がやる行為の中で最もROIの低い行為です ということです。ましてや「上司を説得する」などというのは、人生の無駄使いだろうと思います。 なぜ「上司を説得する」がムダなのか?マーケティング

    • 「論理より直感を」ではなく「論理も直感も」

      「論理より直感を」という誤解意思決定における「論理」と「直感」の問題については、すでに前著「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか」において、かなりの紙幅を割いて説明していますが、筆者の筆力の問題もあっていくらか誤解されている側面もあり、ここではあらためて、前著で触れなかった論点についても取り上げながら考察してみたいと思います。 まず、あらためて筆者の問題意識をシンプルに記述すれば、「企業の意思決定があまりにも論理偏重に傾くとパフォーマンスは低下する」ということになります。

      • 民主主義の未来とルソーの一般意志

        いやあ、米国の大統領選挙、トランプさんが返り咲きましたね。これは以前にもどこかに書いたことがあるのですが、二大政党制というのはちょっともう制度的に破綻しているのではないかと思います。 トランプは今回、共和党から立候補したわけですが、かつては公然と民主党支持を表面していましたし、多額の献金をしたこともあります。 つまりトランプは、何らかのイデオロギーを持っていて、そのイデオロギーが共和党の考える政治信条と親和性が高いという理由で共和党から立候補したわけではなく、ある意味で「

        • 知的生産では「常にポジションをとる」

           一月ほど前に知的生産における「一次情報をインプットすることの重要性」について書きましたね。 今回は知的生産における「インプット」の次のプロセスである「プロセッシング」に関して、その心構えについて書いておきたいと思います。  文脈に沿った「意味合い」を引き出すそもそも「プロセッシング」とはなにをやることなのでしょうか?一言でいえば、プロセッシングとは、 集めた情報から、何が言えそうかを考える ことです。集められた情報から「意味合い」や「示唆」や「洞察」を引き出す。ここ

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        • ご参加の皆さんへ

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        • クリティカル・ビジネスの類型化

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        メンバー特典記事

          なぜ「上司の説得」はムダなのか?

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          ビートルズから学んだ「人生の戦略」とは?

          僕は自分の趣味である音楽から、随分と「人生の戦略」に関する示唆をもらってきました。その最たるものの一つが、小学生の時からずっと聴いているビートルズです。 ビートルズから僕が学んだ「人生の戦略=ライフ・マネジメント・ストラテジー」には、次の三つがあります。 順番が大事 人選が大事 密度が大事 順にいきましょう。 順番が大事まずは「人生では順番が大事」ということです。この話は以前に、番組ナヴィゲーターを務めているJ-WAVEさんのインタビューでしたことがあるので、その

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          なぜアート鑑賞は「人生に効く」のか?

          今日は「美意識」について書きます。この記事の読者には拙著「世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」をお読みいただいた方も多いと思いますが、出版から7年を経て、より思考が整理された部分もあるので、この機会にあらためて「アート鑑賞がどのようにして私たちの人生のクオリティを高めてくれるのか?」という点について書いておきたいと思います。 観る力を鍛える 感じる力を鍛える 言葉にする力を鍛える 多様性を受け入れる力を鍛える 美意識を鍛える  アート作品の鑑賞は、その行為自

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          日本の産業ポートフォリオ

          以前のNOTEの記事で、経営戦略論を人生に当てはめて考える「ライフ・マネジメント・ストラテジー」が、なぜいま求められているのか?という問いについて、その理由として「選択の巧拙によって、極端に人生の格差が生まれてしまうから」という点をあげました。 この記事では、具体的にどの産業がどうとかということは指摘しませんでしたが、ちょっと気になったので、データを取りまとめてみました。次の図は、日本の産業別に2013年から2022年までのGDP成長率の平均を、横軸に2022年時点でのGD

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          なぜ「イノベーションの方法論」は常に不毛なのか

          イノベーション停滞の真因は「問題の希少化」私はいろんなところで「問題の希少化」と「構想力の衰退」が起きている、と指摘してきましたが、この問題こそ「イノベーションの停滞」という状況を生み出している核心的な理由だと思います。 昨今、日本企業の多くがイノベーションを筆頭の経営課題に掲げ、様々な取り組みを行っています。 しかし、いろんなところで指摘している通り、筆者はそれらの取り組みのほとんどが茶番だと思っています。なぜかというと、それらの取り組みにおいて解決したい課題=アジェン

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          人生というプロジェクトの基本原理

          4月に出したこちらの記事では「キャリアというゲームの基本原理」について書きましたが、あれから半年で大幅に補筆しましたので、記事の改変という形ではなく、新しい記事として公開したいと思います。 ちなみにこちらの記事は、来年1月に上梓予定の「人生の経営戦略=ライフ・マネジメント・ストラテジー」の冒頭部分になる予定です。 それでは早速本題に入りましょう。 「正しい戦略」は「正しい目標」が大前提モンテーニュが「エセー」で指摘した通り、私たちは、正しい目標を欠いてしまうと、偽りの目

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          知的生産システムにおける「ストック」の構築 2/3

          こちらの記事の続編です。 情報という魚を選り抜く イケス的ストックを効率的に構築するためには、まず何よりもイケスに囲い込んでおく魚の選り抜きが必要になります。興味深い情報、感銘を受けた逸話など、「オッ」と思う様な情報に接したら、とにかくその情報を採集しておきましょう。 私はこれまでにも何度か、文化人類学の手法を知的生産に用いるアイデアを紹介していますが、この採集の局面もやはりフィールドワーク的な感性が重要になってきます。自分の驚きや違和感にセンシティブになり、目の前を「

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          知的生産システムにおける「ストック」の構築 1/3

          独学システムにおけるストックの役割いかに大量かつ良質の情報をインプットしたとしても、それらのインプットを知的生産の文脈に合わせて自由に活用できなければ意味がありません。ここでは、インプットされた情報をいかに効率的にストックし、自由自在に活用するかという論点について私のノウハウを述べたいと思います。 まず、最大のポイントは、記憶に頼らないという心構えを持つということです。「インプットした情報をストックする」と聞けば、多くの人は「インプットされた情報を脳内に記憶する」ことをイメ

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          「独学の戦略」とは

           独学の戦略とは、一言で言えば、「何について学ぶか」という大きな方向性を決めるということです。これは逆に言えば「何を独学しないかを決める」ということでもあります。 現在の私たちが生きている世界は、大量の情報によってオーバーフローが発生しています。知的好奇心旺盛な人にとって、これはとても残念で悔しいことなんですが、私たちが独学のために使える時間はごくわずかであり、これらすべての情報に通暁することはもとより叶いませんし、もしそんなことを目指そうとすれば他のもっと大事なことを犠牲

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          アウトプットが出ない時は「一次情報」をインプットする

          期日は迫るのにいいアウトプットがなかなか出ない、というとき、人はどうにかして「アウトプットを出そう」としてもがいてしまいがちです。しかし、そうやってもがいたとしても、状況を大きく打開するようなアウトプットが出ることは、まずありません。 こういうとき、何をさておいてもやらなければならないのは「アウトプット」ではなく「インプットのやり直し」です。なぜなら、いいアウトプットが出ない時というのは、まず間違いなく、いいインプットがされていない時、だからです。 このとき、意識しなけれ

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          ChatGPTとの雑談:バウハウス批判

          山口: バウハウスは現在、高く評価されていますが、あえて批判するとすれば、どのような批判があり得ますか? ChatGPT: バウハウスはそのモダニズム的なデザイン哲学や教育理念で広く評価されていますが、批判の余地もいくつか存在します。以下の点がよく挙げられる可能性があります。 機能主義への過度な依存 バウハウスのデザイン哲学は「形態は機能に従う」(form follows function)という機能主義に強く影響されています。しかし、これに対しては「過度に機能性を重視し

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          「越境」のススメ

          今日は「越境のススメ」というテーマです。 なぜ企業は無くならないのか? ソヴィエト連邦の崩壊とそれに続く東欧社会主義諸国の瓦解によって、社会主義は事実上死滅したと一般には考えられています。しかし、日本や米国などのいわゆる「西側先進諸国」において、死滅したと考えられている社会主義が唯一生き残り、巨大な影響を私たちに与えている場所があります。どこだかわかりますか? 企業です。 企業の中で私たちは、仲間と仕事を分け合い、会議室やコピー機などの資産を共有し、稼いだお金を皆で共

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          「覚える」を目指さない

          文庫版で再販になりました僕の「独学の技法」が、とてもよく売れています。 僕のNOTEの読者の方には「もう読んだよ」という方も多いかもしれませんが、あらためて冒頭を読み直してみて、感じるところがあったので抜粋して共有しておきたいと思います。 独学を「システム」として捉える本書では、私がこれまでのキャリアを通じて試行錯誤しながら構築してきた「独学のシステム」について、紹介していきたいと思います。 「独学のシステム」とは聞き慣れない言葉だと思いますが、私は、独学をシステムとし

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