以前の漢字文化資料館で掲載していた記事です。2008 年以前の古い記事のため、ご留意ください。
Q0125
よく証券などで「一」「二」「三」を「壱」「弐」「参」と書きますが、「四」以上にもこんな書き方があるのですか?
A
このような漢数字の書き方は、「大字(だいじ)」と呼ばれていて、商取引の金額など、文字が改変されると困る場合に、字画の複雑な漢字を使うものです。
そういう目的で用いられる書き方ですから、「四」以上にもないと困ります。で、順番に記しますと、「肆」「伍」「陸」「漆」「捌」「玖」となります。このあたりはあまり知られていませんが、「十」が「拾」となることは、ご存知の方も多いのではないでしょうか。その先はというと、「百」は「陌」に、「千」は「阡」になり、「万」はもともと旧字体では「萬」ですから、ここから先はわざわざ「大字」を使わなくても、改変されるおそれは少なそうです。
この大字、日本では古くは奈良時代からあるそうです。そんなに古いのかと思っていると、起源はやっぱり中国で、なんでも孟子の時代(紀元前4世紀ごろ)には、すでに「壱」や「弐」を「一」や「二」の代わりに用いた例があるそうですから、相当な歴史を持っている書き方です。
いやはや、当たり前の話ではありますが、そんなに昔から、人間は商売をしていたのですね。そして、字を書き変えて金を儲けようなんて、ずるいヤツがいたのですねえ……。