ジ・エンド (ビートルズの曲)
「ジ・エンド」 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ビートルズの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『アビイ・ロード』 | |||||||||
英語名 | The End | |||||||||
リリース | 1969年9月26日 | |||||||||
録音 |
| |||||||||
ジャンル | ヘヴィロック[1] | |||||||||
時間 | 2分19秒 | |||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||
|
「ジ・エンド」(The End)は、ビートルズの楽曲である。1969年9月に発売された11作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『アビイ・ロード』に収録された。レノン=マッカートニー名義となっているが、ポール・マッカートニーによって書かれた楽曲。アルバム『アビイ・ロード』のB面の特徴であるメドレー「ザ・ロング・ワン」(The Long One)の8曲目にあたる楽曲で、メドレー全体を締めくくる楽曲となっている。また、ビートルズのレコードで唯一、リンゴ・スターがドラムソロを披露した楽曲ともなっている[2]。
背景・曲の構成
[編集]スターのドラムソロをはじめとした各人の楽器のソロパートが含まれている。スターは「ソロを面白いと思ったことは一度もない」と語るなど、ドラムソロを嫌っていて拒否していたが[3]、ジョージ・マーティンの説得により演奏した。このことについてスターは「ジョージ・マーティンに説得された。僕が叩いている間、彼がずっと数を数えていた。時間を稼がなくちゃならなかったから。それで僕は妙ちくりんなタイミングで切り上げることになった。長さが13小節だったからね。とにかく僕はソロを叩いたし、これはあくまで特例だ。やり終えた今は満足してるけどね」と語っている[2]。このドラムソロは、アイアン・バタフライの楽曲「ガダ・ダ・ヴィダ」におけるロン・ブッシーのドラミングを模したもの[4]。
ドラムソロが終わると、マッカートニー、ジョージ・ハリスン、ジョン・レノン(演奏順)[5]によりギターソロリレーが始まり、各人2小節のギターソロを3回演奏している[6][7]。このセクションは、3人がそれぞれのセクションを演奏することを、ハリスンが提案した[8]。
各人のソロパートの後に、「And, in the end, the love you take/ Is equal to the love you make.(結局、あなたが得る愛は、あなたが与える愛(の量)に等しい)」というメッセージが歌われるという構成になっている。マッカートニーは、「メドレーをちょっと意味のある連句で締めたかったから、シェイクスピアを追求して書い���」とコメントし[9][2]、マッカートニーに多い物語調の歌詞を嫌っていたレノンは「見ろ、アイツだって書こうと思えばこういう哲学的な歌詞が書けるんだ」と皮肉半分に称賛した[10][注 1]。
レコーディング
[編集]「ジ・エンド」のレコーディングは、1969年7月23日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ3で開始された。テープ・ボックスには「Ending」と表記されていた[12][2]。8トラック・レコーダーのトラック1と2にスターのドラム、トラック3にレノンのギター、トラック4にハリスンのギター、トラック5にマッカートニーのベースが録音された[2]。記録上はメドレー「ザ・ロング・ワン」のメイン・セクションが7テイクから録音されたことになっているが、テープにはテイク7の後に22から33までの番号がふられたアウトテイクが収録されている。このことから、33回ものリハーサル・テイクののちに、テープが巻き戻されて改めてカウントが開始されたと推測できる[2]。
7月30日にメドレー「ザ・ロング・ワン」に含まれる楽曲のレコーディングが完了したため、曲順を決めるための仮編集が行われたが、この段階ではボーカルやギターソロ、オーケストラは含まれていなかった[2]。試作段階のメドレーは、2019年に発売された『アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション)』のCD3に収録された。
8月5日に曲頭のボーカル、7日にボーカル(「Love you」と繰り替えすパート)とギターソロ、アルバムのカバー写真の撮影が行なわれた8月8日にベースとドラムが追加された[2]。その後8月15日にオーケストラ、18日にエンディング部分のピアノとボーカルが追加されて完成となった[2]。
また、スターのドラムソロには当初タンバリンとギターの音が入っていたが[12]、ミキシング時にカットされた[13]。このカットされた音が含まれたアレンジは、1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』に収録された。こちらでは、前述のカットされた音が含まれている他に、ギターソロやオーケストラが強調され、曲の最後には「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」のピアノコードが加えられている[14]。
クレジット
[編集]※出典[15]
- ポール・マッカートニー - リード・ボーカル、ハーモニー・ボーカル、ベースギター、リードギター、ピアノ
- ジョン・レノン - リードギター、リズムギター、
- ジョージ・ハリスン - リードギター、リズムギター
- リンゴ・スター - ドラム、タンバリン
- ジョージ・マーティン - オーケストレーション[16]
その他
[編集]2006年に発売されたリミックス・アルバム『LOVE』に収録されている「ゲット・バック」には、ドラムソロとポールの2回目のギターソロとジョンの最後のギターソロが使用されている。
マッカートニーは『Get Back Tour』で披露して以降、コンサートでのアンコールのエンディングナンバーとして演奏されており、『ポール・マッカートニー・ライブ!!』『ポール・マッカートニー・ライブ・ハイライツ!!』『バック・イン・ザ・U.S. -ライブ2002』『バック・イン・ザ・ワールド』等のライブ・アルバムにライブ音源が収録されている。また、2012年に開催されたロンドンオリンピックの開会式で、フィナーレにポール・マッカートニーが「ヘイ・ジュード」と共に演奏した[17][18]。
ビータリカはメタリカの「ジ・エンド・オブ・ザ・ライン」をカバーした際に、「ジ・エンド」のメロディを使用している[19]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ^ Unterberger, Richie. “The End by The Beatles - Track Info”. AllMusic. RhythmOne. 2022年7月4日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i Abbey Road 2019, p. 14.
- ^ Larry King Show 2007.
- ^ Womack 2014, pp. 258–259.
- ^ The Beatles 2000, p. 337.
- ^ MacDonald 2005, p. 361.
- ^ Winn 2009, p. 316.
- ^ “100 Greatest Beatles Songs: 23. 'Abbey Road Medley'”. Rolling Stone. (2001-09-19). オリジナルの2014-01-22時点におけるアーカイブ。 2019年9月15日閲覧。.
- ^ Miles 1997, p. 558.
- ^ Sheff 2000, p. 204.
- ^ Hal Leonard 1993, pp. 252–253.
- ^ a b Lewisohn 1988, p. 181.
- ^ Apple Records 1996.
- ^ Winn 2009, p. 317.
- ^ Abbey Road 2019, p. 13.
- ^ Lewisohn 1988, p. 190.
- ^ “開会式「ヘイ・ジュード」は“口パク”の予定だった?”. 産経新聞 (2012年7月29日). 2012年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月8日閲覧。
- ^ “ポール、8万人大合唱!機械トラブルで急きょ大合唱”. スポーツ報知 (2012年7月29日). 2012年8月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年11月8日閲覧。
- ^ “Beatallica - Carry That Weight is another Jaymz tune, so... - Facebook”. 2018年10月7日閲覧。
参考文献
[編集]- Anthology 3 (booklet). The Beatles. London: Apple Records. 1996. 34451。
- The Beatles (2000). The Beatles Anthology. San Francisco: Chronicle Books. ISBN 0-8118-2684-8
- The Beatles - Complete Scores. Milwaukee: Hal Leonard Publishing Corporation. (1993). ISBN 0-7935-1832-6
- ハウレット, ケヴィン (2019). アビイ・ロード (スーパー・デラックス・エディション) (ブックレット). アップル・レコード.
- “Interview Transcript”. Larry King Show (2007年6月26日). 2019年9月15日閲覧。
- Lewisohn, Mark (1988). The Beatles Recording Sessions. New York: Harmony Books. ISBN 0-517-57066-1
- MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). ISBN 1-84413-828-3
- Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years From Now. New York: Henry Holt & Company. ISBN 0-8050-5249-6
- Sheff, David (2000). All We Are Saying: The Last Major Interview with John Lennon and Yoko Ono. New York: St. Martin's Press. ISBN 0-312-25464-4
- Winn, John C. (2009). That Magic Feeling: The Beatles' Recorded Legacy, Volume Two, 1966-1970. New York, NY: Three Rivers Press. ISBN 978-0-307-45239-9
- Womack, Kenneth (2014). The Beatles Encyclopedia: Everything Fab Four. Santa Barbara, CA: ABC-CLIO. ISBN 978-0-313-39171-2
外部リンク
[編集]- The End - The Beatles