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クレシダ (衛星)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
クレシダ
Cressida
ポーシャ、クレシダ、オフィーリアが写っている(ボイジャー2号撮影)
ポーシャ、クレシダ、オフィーリアが写っている(ボイジャー2号撮影)
仮符号・別名 Uranus IX
S/1986 U 3
分類 天王星の衛星
発見
発見日 1986年1月9日[1]
発見者 ボイジャー2号
S・P・シノット
(ボイジャー撮像チーム)
軌道要素と性質
平均公転半径 61,766.730 ± 0.046 km[2]
離心率 (e) 0.00036 ± 0.00011[2]
公転周期 (P) 0.463569601 日[2]
軌道傾斜角 (i) 0.006°[2]
(天王星の赤道に対して)
近日点引数 (ω) 44.236°[3]
昇交点黄経 (Ω) 99.403°[3]
平均近点角 (M) 233.795°[3]
天王星の衛星
物理的性質
三軸径 92 × 74 × 74 km[4]
平均半径 39.8 ± 2 km[4]
表面積 19,905.63 km2[1]
体積 264,081 km3[1]
質量 3.4×1017 kg[5]
(2.5 ± 0.4)×1017 kg[6]
平均密度 0.86 ± 0.16 g/cm3[6]
表面重力 0.014 m/s2[1]
脱出速度 ~0.034 km/s
自転周期 同期回転[4]
アルベド(反射能) 0.08 ± 0.01[7]
赤道傾斜角 0[4]
表面温度 ~64 K
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クレシダ[8][9] (Uranus IX Cressida) は、天王星の第9衛星である。

発見と命名

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クレシダは、1986年1月9日にボイジャー2号が撮影した画像の中から、ボイジャーの画像解析チームによって発見された[10]。発見は同年1月16日に国際天文学連合のサーキュラーで公表され、S/1986 U 3 という仮符号が与えられた[10]。その後1988年6月8日に、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『トロイラスとクレシダ』に登場するトロイの神官カルカスの娘に因んで命名された[11][12]。また、Uranus IX という確定番号が与えられた[12]

物理的特徴

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ボイジャー2号が撮影した画像の中では、クレシダは長軸を天王星の方へ向けた細長い物体として写っていた。クレシダの長軸と短軸の比率は 0.8 ± 0.3 と非常に細長い形状をしていることが分かっている[4]。また、表面は灰色である[4]。測定されたアルベドは 0.08 と低く、表面はC型小惑星に見られるような、暗く変性していない炭素豊富な物質に覆われている可能性がある[1]

クレシダは、測光的特徴や軌道要素がよく似たビアンカデズデモーナジュリエットロザリンドポーシャキューピッドベリンダペルディータとともに、ポーシャ群を形成している[7][13]

軌道および環との関連

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クレシダの軌道は、天王星の環の一つであるη環との 3:2 の軌道共鳴に近い。クレシダの重力がη環の形状に引き起こす擾乱からクレシダの質量が測定されており、(2.5 ± 0.4)×1017 kg と推定されている[6]。この質量とサイズを元に、平均密度は 0.86 ± 0.16 g/cm3 と推定されている[6]天王星の小型の衛星のうち、質量が直接測定されているのはクレシダのみである[6]

クレシダを含む内側の衛星のいくつかは長期的には軌道が不安定であることが示されており、クレシダは今後400万〜1億年のうちにデズデモーナと衝突する可能性があることが指摘されている[14]

出典

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  1. ^ a b c d e In Depth | Cressida – Solar System Exploration: NASA Science”. アメリカ航空宇宙局 (2017年12月5日). 2018年12月25日閲覧。
  2. ^ a b c d Jacobson, R. A. (1998). “The Orbits of the Inner Uranian Satellites From Hubble Space Telescope and Voyager 2 Observations”. The Astronomical Journal 115 (3): 1195–1199. Bibcode1998AJ....115.1195J. doi:10.1086/300263. 
  3. ^ a b c Jet Propulsion Laboratory (2013年8月23日). “Planetary Satellite Mean Orbital Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
  4. ^ a b c d e f Karkoschka, Erich (2001). “Voyager's Eleventh Discovery of a Satellite of Uranus and Photometry and the First Size Measurements of Nine Satellites”. Icarus 151 (1): 69–77. Bibcode2001Icar..151...69K. doi:10.1006/icar.2001.6597. 
  5. ^ Jet Propulsion Laboratory (2015年2月19日). “Planetary Satellite Physical Parameters”. Jet Propulsion Laboratory Solar System Dynamics. ジェット推進研究所. 2018年12月25日閲覧。
  6. ^ a b c d e Chancia, Robert O.; Hedman, Matthew M.; French, Richard G. (2017). “Weighing Uranus’ Moon Cressida with the η Ring”. The Astronomical Journal 154 (4): 153. arXiv:1708.07566. doi:10.3847/1538-3881/aa880e. ISSN 1538-3881. 
  7. ^ a b Karkoschka, Erich (2001). “Comprehensive Photometry of the Rings and 16 Satellites of Uranus with the Hubble Space Telescope”. Icarus 151 (1): 51–68. Bibcode2001Icar..151...51K. doi:10.1006/icar.2001.6596. 
  8. ^ 『オックスフォード天文学辞典』(初版第1刷)朝倉書店、127頁。ISBN 4-254-15017-2 
  9. ^ 太陽系内の衛星表”. 国立科学博物館. 2019年3月9日閲覧。
  10. ^ a b Brian G. Marsden (1986年1月16日). “IAUC 4164: Sats OF URANUS; R Leo; NOVAE”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年12月25日閲覧。
  11. ^ Planet and Satellite Names and Discoverers”. Planetary Names. 国際天文学連合. 2015年1月11日閲覧。
  12. ^ a b Brian G. Marsden (1988年6月8日). “IAUC 4609: ASM 2000+25; Sats OF SATURN AND URANUS; 3C 279, PKS 1510-089 AND OJ 287”. Central Bureau for Astronomical Telegrams. 国際天文学連合. 2018年12月25日閲覧。
  13. ^ Scott S. Sheppard. “Uranus Satellite and Moon Data”. Carnegie Science. 2018年12月25日閲覧。
  14. ^ Duncan, Martin J.; Lissauer, Jack J. (1997). “Orbital Stability of the Uranian Satellite System”. Icarus 125 (1): 1–12. Bibcode1997Icar..125....1D. doi:10.1006/icar.1996.5568. 

外部リンク

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