【中日】大野雄大、球団改革へ熱弁25分「ニンジンがぶら下がったら…」ヒントは阪神の四球査定 全文掲載
中日の大野雄大投手が9日、ナゴヤ球場内で契約更改交渉に臨み、20年オフに締結した21~23年までの3年契約に加えた24年シーズンのオプションとなる条件を、昨季のうちにクリアしていたと明かした。来季、4年契約の最終年として、現状維持の3億円プラス出来高5000万円でサインした。
球団との話し合いは「6分」で終わったというが、記者会見ではチームについて「ガラッと変わらないと勝てへんやろなと思いますね」などと25分にわたって熱弁を振るった。全文を掲載する。
(放送各社向けのインタビュー)
―契約について
「20年のオフに、オプションをクリアしたらもう1年(の3年プラス1年の契約を結んだ)。それ(オプションの条件)を21年シーズンにクリアしたので、現状維持で(4年目の)24年もいきます」
―今季は悔しい1年
「春先に手術して1試合しか投げられなかった。手術のタイミングは難しかった。もちろん野球選手はメスを入れない方がいい。手術せず現役を終えられればいい。(常に左肘に違和感はあったものの)『いけるところまでやろう』と思ったが4月に離脱する形になった」
―左肘の状態は
「本当はシーズン中に1軍復帰できれば良かった。でも僕の場合は復帰時期未定でメスを入れるしかなかった。ただし2軍の最後で投げられた。秋季練習中の10月29日にも、大丈夫だという姿を1軍首脳陣に見せられた。なので来年、春季キャンプからしっかり投げて、開幕ローテ勝ち取って、しっかり投げていきたい」
―リハビリ期間中に感じたことは
「ナゴヤ球場で(シーズンを)過ごすのは2018年以来。なかなかファームの若い選手、1軍で投げられない選手と過ごすことは今までなかった。コミュニケーションも取れたし、楽しみな選手が多い。大けがした岡田俊哉、トミー・ジョン手術を受けた岩崎翔。僕より大変な手術を乗り越えているのを見て『僕も頑張らなアカン』と感じました。僕の手術は軽いものなので」
(続けて)
「1軍の試合を見ていました。なかなか勝てない日々が続いたが、やってる選手は必死。見てる方は『何でああせえへんのやろ、こうせえへんのやろ』と思うんですが。でもプレーの難しさがあって。相手もプロ。プロでもできない。『それがプロ野球なんだろうな』と思って見てました」
(さらに)
「僕が2軍の試合でも投げたいと思ってやっていたのは、(1年間実戦で投げず)感覚がズレたまま来季迎えないようにしたかったから。でも実際は2軍の試合でも思うようにいかなかった。そのための準備。ローテーション投手なら週に1回の過ごし方の大変さ。登板当日に憂うつにもなる(が、それを体感できなかった)。今年なかなか投手陣は勝てなかったが、2軍の試合で投げて、リスペクトする気持ちは感じた」
―低迷するチームが来季すべきことは
「僕自身、しっかりやるだけ。今年全くチームの力になれていないので。僕は年間投げられることに関しては計算しやすい投手だと思っている。そこを長所だと思っている。まずローテを守ることを目標にやりたい」
(続けて)
「チームとしては、ガラッと変わらないと勝てへんやろなと思いますね。このままいってもたぶん勝てへんと思います。選手が一番やらないといけないですが、球団もそう。監督、コーチも。みんな変わらないと強くならないと思います。それをどうしていかなアカンのか…という話ですが。でも、そう思いますね。このままいっても強くならないですね」
(さらに)
「この秋もみんな“どうにかしよう”と思ってやっている。ただ、いきなり山本由伸投手はヒョコッと出てこない。打者なら岡本(和真)選手、村上(宗隆)選手もいきなり出てこない。どうやったらそうなれるのか。もっともっとみんな考えていかないと」
(さらに)
「僕は自分自身のことを分かってます。どうしていったらいいか。(どう過ごせば)シーズンをある程度(うまく)できるか。それを若手の子は分かっていないので、僕たち先輩も教えてあげたり、コーチの方、監督が伝えていってあげられれば」
(さらに)
「どこの球団もそれが課題だと思うが、ウチはそれだけ低迷していますから。もっともっと変わっていかないと。ただ練習するだけじゃ強くならないと思います」
―ガラッと変わるために後輩をリードしなければ
「これというものがあれば伝えていけると思う。背中でも引っ張っていける。でも足りないところばかり。あとは成績を残せばついてきてくれると思う。良くしてあげようと思って日々やってるわけですから。でももっともっと中日ドラゴンズ全体が変わっていかないと」
(ペン囲み)
―強いメッセージを発信した
「宮部さん(放送代表質問のCBCアナウンサー)がいい質問してくれたんで(笑い)。今年優勝した阪神との差は。選手の力もあるが、いろんなところで大差をつけられている。全体力、チーム力…、もちろん上げようとはしてるんですが、もっともっと上げられるんちゃうかなと」
―今季の阪神と中日の一番の違いは
「明確な指示を出して、それに選手が応えていくと言いますか。ひとつは四球もそう。そこ(グラウンド)にいなかったので紙面(スポーツ紙の記事)でしか分からないですが、岡田監督が選手に伝えて、それを選手が実行していって。まず『それが査定のポイントにつながっている』と(首脳陣が選手に)話してやっていった。うちと明らかに四球の数も違いますし(中日は12球団最少の306、阪神は12球団最多の494)」
(続けて)
「阪神の打者が振れてるというのもありますが。ウチの打者が振れてへんてことじゃないですけど。打者が怖いから(相手投手は)四球を出したりもある。2ストライクに追い込まれてからでも粘ったりという姿勢は、明確な指示と、球団のしっかりした査定もあるから。そういうつながりもあって、四球が増えたのかなと思います。打者の査定は詳しくは分からないですが。でも(昨季358→今季494と)四球が大幅に上がったと思います。例えばそれがひとつ。もっともっとありますけど」
―きょう球団とそのような話は
「してないですね」
―過去には
「あまりしないタイプですね。ここでしゃべったら(紙面に)載ると思いますしね。見てくれると思うので。僕も35歳になって(この先)そんな長くはできませんし。チームのことはすごく思いながらやってきましたけど。嫌われずに。アハハハハ。嫌われずにやってきたのでね。でも長くないので、考えながら。先日も柳(裕也)と(高橋)宏斗と(小笠原)慎之介とメシに行って『どうしていったらいいのかな』と話したりもして。いろんな意見を交換したので、それを実行していけたらなと思います」
―阪神の査定面の効果は大きかったのだろうか
「僕は特にニンジンがぶら下がったら頑張るタイプなので。明確に分かりやすいんじゃないかなと思います。そらみんな四球取りたいし、打点も挙げたいですが、それが難しい。(だが査定につながると)より、やらせやすい。『もっともっとそうしていこう』と思うような気持ちに間違いなくなると思う。それがチームを強くしていくわけですから。ニンジンのぶら下げ方、モチベーションの上げ方というのは(阪神の強さとして)あったんじゃないか。阪神の選手の技術があるからですけどね」
―中日には若い選手が多い
「若いからといってゲームに出る以上言い訳はできない。でも1、2年目から数字は残せられないもの。もっともっと練習せなアカンのかなと思います」
―2年連続最下位
「良くないとは思いますね。優勝はもちろん目指さないといけない。大谷(翔平)選手が『一番以外は目指したことがない』と言ってましたが、これだけ応援してくださるファンがいる中で『とりあえず3位を目指します』というのは絶対違うと思う。一番上を目指して…現実的には難しいとは思いますが。優勝目指してやっていきたい」
―来季4年契約の4年目
「来年次第では25年シーズンはユニホームを着られない可能性もある。どれだけやれるのか。そんな覚悟を持ちながら過ごす1年になると思います。(ローテを守る)準備はもちろんしていく。使われ方は監督と投手コーチによるでしょうが。36歳ですけど、34歳までしっかりローテーションを守れた。たった1、2年でできなくなるわけはないと思う。しっかり規定投球回(を超える)。ひとつのテーマとしてクリアできるように準備します」
―来季、規定投球回をクリアすれば山本昌さんに次ぐ球団2位タイの9回目
「(山本昌さんは)20回くらいですか?」
―15回
「実働年数は違うかもしれないが、いつも慎之介や柳に『規定を投げろ。そのためにしっかり考えて体と相談してやりなさい』と言ってたので、僕はそこに価値はあると思って伝えてきた」
―若手への期待は
「期待の先発投手は、梅津、根尾、仲地と出てきている。ホンマに競争だと思う。慎之介、柳、宏斗はひとつ抜けている。4枚目以降は争いだと思う。僕ものんびりしているヒマはない。4枚目の椅子を取らないといけない。しっかりオープン戦からアピールしていきたい。中6日でずっと…という形にはならないかもしれないが、離脱しないように競争に勝ち抜きます」
―チームとしてガラッと変わるための劇薬はあるのか
「ここでは言えないですね(笑い)」
(帰り際に)
「変なとこだけ切り抜かないようにしてくださいね(笑い)」