9月3日に総裁選不出馬を表明する直前、菅義偉首相は「文藝春秋」の単独インタビューに応じていた。聞き手は船橋洋一氏(アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長)。船橋氏が最初に問うたのは、総理の言葉の問題だった。
――総理の記者会見については、「言葉が響かない」「聞かれたことに答えていない」などの声も聞かれ、評判は必ずしも芳しいものではありませんが、どのように受け止めていますか。
「これには本当にいろんな方々から電話が来て、厳しいことも含めていろんなことをご指摘いただきました。それら全てを謙虚に受け止めるべきだと思っています。私自身、もともと能弁ではないし、そもそも政治家は『弁舌よりも結果だ』と。結果を残せばわかってもらえるという政治姿勢で今までずっと来たので、そういう考えが会見の姿勢に出てしまっているのかもしれません」
そして菅首相は、反省の言葉を口にした。
「しかし正直な話をすれば、総理の立場になったので、どうしたら国民に言葉が届くのか、もう一度一からやり直さないといけないと感じています」
インタビューが行われたのは8月末日。総選挙の行方にも注目が集まっており、与野党とも菅首相の決断に警戒している状況だった。インタビューで、そのタイミングや争点について問うと、菅首相はこう語った。
「解散は、自分の手でやってみたいとはずっと思っています。新型コロナの状況が厳しく、解散を打つタイミングはどんどん狭まっている。いろんな報道がありますが、新型コロナ対策を最優先で進め、総選挙についてもきちんと考えていきます」
◆
コロナ対応、五輪、解散から安保戦略見直しまで、厳しく問うた菅首相最後のインタビューは、「文藝春秋」10月号および「文藝春秋 電子版」に掲載される。
菅義偉首相「正面からお答えします」
【文藝春秋 目次】日・英・米・イスラエル「最高峰の権威」に総力取材 コロナ猛威 世界は警告する/「デルタ株の正体」A・ファウチ/菅義偉首相インタビュー
2021年10月号
2021年9月10日 発売
定価960円(税込)