沖縄県で発生した米兵による少女への暴行事件が県側に伝えられていなかったことについて、自民党の実力者からは、政府に苦言を呈する声は聞かれない。太平洋戦争で唯一地上戦が展開された史実を踏まえ、政治家人生を懸けて、沖縄を巡る諸問題に取り組んだ実力者が2000年代初頭まではいた。当時と比べ、自民党政治家の「沖縄離れ」は鮮明だ。(時事通信解説委員長 高橋正光) 沖縄復帰記念式典であいさつする山中貞則総理府総務長官兼沖縄開発庁長官(右)=1972年5月、那覇市【時事通信社】 官邸に報告、県には伝えず 事件が起きたのは昨年12月。米兵は不同意性交罪などで起訴された。外務省は首相官邸には報告したものの、県や防衛省には連絡せず。今年6月になり、メディアが報じたことで事件が表明化した。 これをきっかけに、今年5月にも米兵による性暴力事件があり、外務省が同様に、県に伝えていなかったことも明らかになった。 上川陽