情報というのは様々な媒体をするすると通り抜けて私たちの目や耳に入ってくる。 この1ヵ月、ネットもニュースもできるだけ見ないようにしていたが、Yahoo!のトップページには大坂なおみについての記事が並び、「外国人の血に頼るしかないのか」という見出しまで出ていた。 すぐに反論が出て、SNS上でもシェアされていたが、どちらの記事に対しても、なぜか怒りも、悲しみも、頼もしさも感じなかった。「この社会において外国人は普通ではない」というメッセージが、あまりにも自然に含まれていたからだ。 普段から外国人や外国にルーツを持つ子どもにかかわる仕事をしている私は、彼女にまつわる記事をどの立場からどんな気持ちで読むべきなのか、自分でもわからなくなっていた。 日本人でも外国人でもない8年間 私の人生には点線の時間がある。 フィリピンから出稼ぎ労働者として来日した母と日本人の父の間に生まれた私は、無国籍児・無戸籍