国会図書館が蔵書90万冊以上をデジタル化?! −国立国会図書館所蔵資料のデジタルアーカイブ整備費百数十億円を含む補正予算案、衆院通過/権利者の許諾なしで国会図書館所蔵資料の電子化を行える著作権改正法案も衆院全会一致で可決
Web上のニュース等ではまだ上がっていないようですが、5/13付けの朝日新聞で、今年度の補正予算案で国立国会図書館の蔵書デジタル化として計127億円が計上された、という報道がありました。
これは前年の100倍規模だそうです。
同館の蔵書は全部で917万冊。うち明治・大正期に刊行された書籍の一部、約14万8千冊をデジタル化してネットで公開しているが、蔵書の1.6%にすぎない。予算案が認められれば約92万冊、同館の国内図書の4分の1近くのデジタル化が終わる計算だ。
[朝日新聞.2009-05-13.朝刊.社会面.25ページ]
自分が確認したのは朝日新聞のデータベース「聞蔵IIビジュアル」版と筑波大学に所蔵されてた紙版ですが、こちらのリンク先にも途中まではほぼ同じ内容が掲載されています(ただし最後の1文が聞蔵版とリンク先では違って、聞蔵版ではGoogle Book Searchについての言及と国会図書館の長尾真館長の談話が掲載されていました)。
ちなみにここで取り上げられている補正予算案はこちらのサイトで確認できます。
「平成21年度補正予算(第1号、特第1号及び機第1号)等の説明」のリンク先で、「第2 一 般 会 計」のPDFファイルを開くと16ページに件のデジタル化予算についての言及があります。
- 追 加 50,172 (百万円)
上記の追加額は、自衛隊情報ネットワークの統合・高度化、知的創造立国を推進するための国民の知識・文化財産としての国立国会図書館所蔵資料のデジタルアーカイブ整備、公的個人認証の利便性向上等のためのシステム開発、ワンストップの行政サービスの実現に向けた国民電子私書箱構想の推進、政府情報システムの全体最適化のための調査検討等のために必要な経費であって、その内訳は次のとおりである。
- (単位 百万円)
- 自衛隊情報ネットワーク環境整備費 14,815
- 国立国会図書館経費等 14,575
- 公的個人認証の利便性向上等のためのシステム開発等事業費 8,993
- 国税総合管理システム開発費等 4,252
- 国民電子私書箱関連ネットワーク基盤確立事業費 2,998
- 自治体情報システム集約開発実証事業費 2,005
- 法務省情報処理事務用機器整備費 553
- 地理空間情報整備・活用等推進費 543
- 独立行政法人国立公文書館公文書等デジタルアー カイブ化推進事業費 502
- 司法情報システム整備費 382
- 電子経済産業省認証システム開発事業費 231
- 国民電子私書箱等の調査研究等経費 165
- 政府情報システムの全体最適化のための調査検討費 100
- 情報技術を活用した地域中小企業活性化事業費 51
- 警察庁情報通信技術利用環境整備費 8
- 計 50,172
こっちだと国会図書館経費は145億円になっているんですが、朝日新聞との整合性については内訳とかの詳細がわからないので未確認です。
朝日新聞の朝刊が出た時点ではまだ補正予算は衆院を通過してなかったんですが、その日の夜(5/13夜)の段階で補正予算は衆院を通過したとのこと。
政府の追加経済対策の裏付けとなる09年度補正予算案は13日夜の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決され、参院に送られた。民主、社民、国民新の野党3党は「審議不十分」と反発し本会議を欠席、共産党は出席して反対した。参院での審議入りは民主党代表選後の18日以降になる見通しだが、多数を占める野党が審議を引き延ばした場合でも、憲法の衆院優越規定により6月12日に自然成立する。
と言うわけで野党が引き延ばしても6/12には自然成立・・・とのことで、国会図書館蔵書デジタル化予算大増額はほぼ確実そうです。
さらにこのタイミングでと言うか最初から狙っていたのかはあれですが、補正予算が衆院を通過する前日の5/12には著作権法改正案も同じく衆院を通過しています。
また、国会図書館における所蔵資料の電子化や、ネット販売に伴う美術品などの画像掲載、情報解析研究のための複製、障害者向けの録音図書や映像に対する字幕・手話の付加などについても、権利者の許諾なしに行える規定などを設けた。
ダウンロード違法化等の点ではこの改正案には色々もの申したいことがたくさんあるというかあまりグッドニュースって感じではない面もあったのですが・・・このタイミングで、国会図書館における所蔵資料の電子化に権利者の許諾がいらない(提供に、いらないわけではない点は注意)規定が実現しそうってのはなかなか。
こっちも参院を通過した場合、国会図書館は
- 所蔵資料を(権利者の許諾とか関係なしに)電子化する権利 + 実際に電子化するための予算
を同時に手に入れるわけで。
しかもそのタイミングで国会図書館の館長は先日もトークセッションで電子図書館/本の電子化について白熱したセッションを見せた*1、長尾真先生。
セッションでの「日本中の読者/利用者に対してイコール・オポチュニティを与えるのが(国立国会図書館の)義務。これを実現出来るのは電子図書館しかない」という言葉が俄然、重みを増してきた感じがします。
わくわくするなって方が無理ってもんでしょう。
詳細は今後の著作権法改正案や補正予算案の動き、そして国会図書館からの発表を待たないとわからないことだらけですが・・・
実際に電子化される範囲、パブリック・ドメインになっていないものについての扱い等など、今後の展開が注目されるところです。
特にパブリック・ドメインになっていないものについては、長尾館長がたびたび論じられているような利用者への提供と出版者・権利者も含めたビジネスモデルの確立*2につながる何かが起こるのか起こらないのか・・・
Googleに向かってNDLが「ここ(日本)は俺に任せておまえは先(その他諸国)に行け!」とかいう熱い展開になるんでしょうか。
とりあえず「スキャン時のテキストデータ付与とGoogleはじめサーチエンジンのクロール許可だけは是非とも・・・」と、気が早いのは承知で要望したいところです。
・・・しかし・・・この分だとブログタイトルを「電子図書館の夢をみるか」のままにしておける期間は案外短いのかもなあ・・・