Go公式のlinter、Golintが非推奨になった
Goが公式で出していたGolintがdeprecated/frozenしました。
- メンテがされていない
- 2018年から実質的な変更が加わってない
- Issueも放置されているものが多い
- golang orgに存在するlinterなのでGoが公式として推奨しているlinterに見える
- Go が実際には保守されていないプログラムを公式として推奨しているように見えてしまう
- 開発者は合理的に異なるスタイルを採用したい場合がある
- Golint単体で特定の警告を無視したりするなどの機能を持っていない
ということからattractive nuisance(魅力的な迷惑者)になっているというProposalでした。
Issueの議論を見てもdeprecate/frozenすることに対して否定的な意見は少なく、一年ほど前にapproveされました。(なので「非推奨にしよう」なったの自体は少し前の話です)
そしてgolang/lintリポジトリが数日前にアーカイブされました。
代替としてどのツールを使用するか
代替と言ってもGolintは(今となっては)数あるlinterの一つと言った感じでした。単体で使っていた人は少ないかもしれません。
staticcheck
staticcheckはProposalのIssueでも度々名前が上がっていたlinterです。GoogleやGoがスポンサーになっており、Golintのリポジトリにも代替として名前が上がっています。
NOTE: Golint is deprecated and frozen. There's no drop-in replacement for it, but tools such as Staticcheck and go vet should be used instead.
以下のように多くのcheck項目に沿って静的解析が行われます。
また、特定のcheck項目を無効にするなどの設定を行うこともでき、ソースコード中に//lint:ignore Check1[,Check2,...,CheckN] reason
とコメントすることで、報告をコードの一部で無効にすることもできます。
go vet
こちらはGoに標準でのっているコマンドです。こちらもいくつかのcheckを搭載しています。
$ go tool vet help
vet is a tool for static analysis of Go programs.
vet examines Go source code and reports suspicious constructs,
such as Printf calls whose arguments do not align with the format
string. It uses heuristics that do not guarantee all reports are
genuine problems, but it can find errors not caught by the compilers.
Registered analyzers:
asmdecl report mismatches between assembly files and Go declarations
assign check for useless assignments
atomic check for common mistakes using the sync/atomic package
bools check for common mistakes involving boolean operators
buildtag check that +build tags are well-formed and correctly located
cgocall detect some violations of the cgo pointer passing rules
composites check for unkeyed composite literals
copylocks check for locks erroneously passed by value
errorsas report passing non-pointer or non-error values to errors.As
framepointer report assembly that clobbers the frame pointer before saving it
httpresponse check for mistakes using HTTP responses
ifaceassert detect impossible interface-to-interface type assertions
loopclosure check references to loop variables from within nested functions
lostcancel check cancel func returned by context.WithCancel is called
nilfunc check for useless comparisons between functions and nil
printf check consistency of Printf format strings and arguments
shift check for shifts that equal or exceed the width of the integer
stdmethods check signature of methods of well-known interfaces
stringintconv check for string(int) conversions
structtag check that struct field tags conform to reflect.StructTag.Get
testinggoroutine report calls to (*testing.T).Fatal from goroutines started by a test.
tests check for common mistaken usages of tests and examples
unmarshal report passing non-pointer or non-interface values to unmarshal
unreachable check for unreachable code
unsafeptr check for invalid conversions of uintptr to unsafe.Pointer
unusedresult check for unused results of calls to some functions
また、golang.org/x/tools/go/analysis を使用しているサードパーティのlinterをgo vet
で実行することも可能です。
revive
golangci-lintでGolintの代替として挙げられているLinterです。
🔥 ~6x faster, stricter, configurable, extensible, and beautiful drop-in replacement for golint
このように銘打っている通り、Golintと似た内容のチェックを行います。
また、GolintのdeprecateのIssueでも指摘が入っていた「有効にするcheckを選ぶことができる」という機能も持っていたりします。
(Golintとの差分はReadmeの「Here's how revive is different from golint」を確認してください)
golangci-lint
golangci-lintは単なるlinterのrunnerです。上記二つとは毛色が違い、Golintの代替として紹介するのは少し適していないかもしれません。
多くのlinterが直接搭載されており、個々のlinterをインストールせずとも、golangci-lintをインストールし、設定を済ませれば多くのlinterを同時に実行することができるメリットがあります。
余談
golangci-lintは基本的には外部のlinterをimportする形で実装されています。(これが「直接搭載」という言葉の意です)
しかし、golangci-lintにも独自で実装が進められているlinterがあります。
例えば、lllというlinterです。以下に実装があります。
元々以下のlinterから実装を拝借していたっぽいcommitが残っています。
また、元のlinterをforkして実装が独自に進められているものもあります。例えば以下のmisspellというlinterです。
その他nolintlint
というlinterは一から独自で実装されています。golangci-lint特有の//nolint
のコメントに理由の記載がないものを検出するlinterです。
本筋に全く関係ない余談でした。
また、有効にするlinterの設定���どを含めかなり詳細な設定をすることが可能です。
staticcheckと同様にソースコード中に//nolint:lintername
とコメントすることで、報告をコードの一部で無効にすることもできます。
前述のstaticcheck、go vet
に搭載されているcheckなどもgolangci-lint上で実行することができるので「最強じゃん!」と見えますが、設定が煩雑になっていくことなどをデメリットに挙げる意見なども見かけます。
ちなみに、golangci-lint上でもGolintを実行できたのですが、Golintのアーカイブが実際に行われたことを受け、つい先ほどgolangci-lint上でもdeprecateされました。次のリリース以降Golintを使用しているとdeprecatedのエラーが出るようになるはずです。
終わりに
今までありがとう。R.I.P. Golint
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