追跡 記者のノートからがんでも閉じ込められ…無実だった技術者の死

2023年12月26日司法 裁判 事件 不正 社会

3畳ほどの拘置所での日々。

いったいどのくらいの時間がたっただろうか。

技術者として、長年会社に貢献してきた男性の体調は日増しに悪化していきました。

幾度もの保釈請求は繰り返し却下。がんと診断されたあとも、精密な検査を受けさせてもらうことさえできませんでした。

亡くなってから半年後に、実質的な無罪の判断がなされました。

男性の命を奪ったものは何だったのか。

関係者の証言、2500ページに及ぶ資料を分析した先にみえたのは、命を軽視しているかのような司法手続きのありようでした。

(社会部記者 佐伯麻里)

終の住みかに夫はいない

相嶋静夫さん。

青春時代にラジオやアンプを作ることに夢中になり、大学に入ると、化学の実験に明け暮れました。

自分の得意なことが生かせるのではないかと機械メーカーに入社。

以来35年間、技術畑を歩みました。

客の要望に合わせた機械をなんとかして作ろうという熱い思いを持った技術者だったといいます。

定年が近づき、老後の生活も描き始めていました。

相嶋さんは定年後も顧問として後進の育成に携わり、5年前に妻と研究所の近くに引っ越しました。

富士山がきれいに見える家で、「80歳までは元気で暮らそう」と話していました。

その家には今、相嶋さんの姿はなく、妻がひとりで暮らしています。

家族も、おそらく本人でさえまったく思いもよらぬかたちで、その人生は72年で幕を閉じました。

相嶋さんの妻
「長年、一緒に暮らして子育てもして、生活をともにした同志でした。友人でもあり、かけがえのない存在でした。こんなことになるなんて夢にも思わなかったし、亡くなって以来、本当に心の底から笑ったことは一度もない。さみしいを通り越して孤独ですよね」

ある日、身に覚えのない事件で

2020年3月、相嶋さんは逮捕されました。

牛乳を粉ミルクなどにする噴霧乾燥機が「生物兵器に転用可能な機械」とみなされ、中国に不正に輸出したという容疑でした。

勤めていたのは横浜市の機械メーカー「大川原化工機」。警視庁公安部は社長や当時の取締役も同じ容疑で逮捕しました。

警視庁が重要案件として内偵捜査を進め、逮捕まで3年間かけた“肝いり”の事件でした。

東京拘置所

「なぜ逮捕されたのかがわからない」

相嶋さんは面会に訪れた妻に訴えていたといいます。

問題となった機械の開発者だった相嶋さんは、逮捕前からおよそ20回にわたり任意の聴取に答えていました。生物兵器には転用できないと何度も説明していました。相嶋さんの説明が正しかったことは後に証明され、実質無罪とされましたが、当時は警視庁に聞き入れてもらえませんでした。

弁護士は繰り返し、裁判所に相嶋さんの保釈を請求しました。しかし、認められることはありませんでした。

その理由はいつも決まって、「罪証隠滅のおそれ」でした。

罪証隠滅
裁判に提出される証拠を処分したり、被告側で口裏合わせをしたりするという意味。
法律では、保釈は原則として許可するものと定められている。この「罪証隠滅のおそれ」が、例外として保釈を認めない理由の1つにされている。

がんの診断、終わらない勾留

【2020年9月23日】
拘置所で過ごす相嶋さんの体調に異変が起きました。
強いめまいに襲われ、視野も暗く狭くなりました。
その2日後、さらに症状が悪化し、貧血の症状が出て400㏄の輸血を受けました。便は黒く、腸内での出血が疑われました。

【2020年9月29日】
弁護側は4回目の保釈請求を行い、「生命の危機に瀕している」と訴えました。

しかし、東京地裁の裁判官は、保釈を認めませんでした。理由はまた「罪証隠滅のおそれ」でした。

相嶋さんの妻
「面会に行くたびに顔色が青白くなっていて、目も灰色っぽくなっていて、生きているのがやっとな感じがして、胸がつぶれそうでした。あまりにもひどくてね」

【2020年10月7日】
東京拘置所の医師から、内視鏡検査で胃がんが見つかったと、この日、相嶋さんは告知を受けました。
その9日後、一時的に勾留を停止する「執行停止」という緊急の措置が認められ、日中の8時間に限って拘置所から出て、大学病院で検査する機会が与えられました。

「進行胃がん」でした。

病状は悪く、通常の医療に照らせばすぐにでも精密検査が必要な状況だったといいます。

しかし8時間という限られた時間では精密検査を受けることができず、拘置所に戻らざるを得ませんでした。

このとき、相嶋さんは自力で歩くことすらできないような状態でした。

相嶋さんの長男
「一般社会だと、がんが見つかったら家族で父を励ましたり、一緒に治療について考えたりできますよね。でも父は拘置所で1人、がんを宣告されて、誰にも相談できなかった。外に出てきて治療が始まるまで、不安で先が見えないなかで過ごしていた期間は非常につらかったんじゃないかと思います。父を何も治療せずに拘置所に戻さなくてはならないのは1番つらかったですね。もう会えないかもしれないと思いました」

【2020年10月19日】
この日、弁護側は5回目の保釈請求をしました。「がんは刻一刻と進行しているのであり、こうしている間にも被告の生命の危機が増大している。『罪証隠滅のおそれ』が極めて小さいことを踏まえ、治療を開始させるべき」と訴えました。

しかし、別の裁判官もまた再び、「罪証隠滅のおそれ」を理由に保釈を認めませんでした。理由のなかで、体調についての具体的な記述はありませんでした。

【2020年11月5日】
一時的に勾留を停止する「勾留執行停止」が再び認められ、相嶋さんは入院することができました。勾留中の被告を受け入れる病院はなかなか見つかりませんでしたが、横浜の病院が受け入れを了承しました。

「拘置所で殺されるところだった」

妻にそう話した相嶋さん。入院して検査した結果、がんはすでに肝臓にも転移していました。

弁護側はその後、入院を続けさせるために「勾留執行停止」の期限を延長する請求を行うとともに、これまで通り保釈請求も繰り返し行いました。

ようやくの保釈許可、その矢先に…

【2020年12月28日午後4時】
逮捕・勾留からおよそ9か月、裁判官は初めて3人の保釈を許可しました。

しかし、保釈の許可からわずか5時間後、その決定は覆されます。

検察が不服として「準抗告」の手続きを取り、別の裁判官が改めて審理した結果、保釈は却下されました。

年が明けると相嶋さんは全身が衰弱し、抗がん剤治療が中止され、緩和ケアに移ることになりました。長男は最後の会話を涙ながらに振り返りました。

相嶋さんの長男
「父はもう意識朦朧としていたんですけど、『俺はいい父親だったかな』と聞いてきました。私は『いいお父さんだった』と答えました。つらそうだったから『寝たら』と勧めると、『寝たらもう二度と目が覚めないんじゃないか』って。最後は寝るのがこわいって言っていましたね。
大人どうしの父との会話が私にとっては貴重で、色々仕事上のアドバイスをもらったり、そういうところで父というか、人生の先輩というか、男として尊敬していました」

2021年2月7日、相嶋さんは息を引き取りました。

なぜ保釈は認められなかったのか

相嶋さんは勾留されてから8回保釈を求めましたが、最後まで認められませんでした。

なぜ認められなかったのか、命をつなぐチャンスがあったのではないか。私(記者)は3人の保釈をめぐる裁判所と検察庁、弁護側のやりとりの記録、全2500ページを入手し、独自に分析しました。

すると、相嶋さんの体調より捜査や裁判の進行を優先していた実態が見えてきました。

裁判官が繰り返し理由に挙げたのは「罪証隠滅のおそれ」。

ではその根拠は何なのか。裁判官の決定文には詳しい理由が書かれていないため、検察の意見書を分析しました。すると、
▽相嶋さんらが黙秘をしている
▽検察が提出予定の証拠に不同意(裁判の証拠として認めない)の姿勢を示している
など、捜査に反発する姿勢ひとつひとつを根拠に挙げていました。

なかには、会社のホームページに掲載したコメントまでもが根拠にされていました。

検察

会社は、被告の逮捕後、ホームページに、『当該製品の輸出は外為法に違反するものではないと認識している』などのコメントを掲載した。会社が組織ぐるみで口裏合わせを行い、個々の従業員の供述をコントロールしている可能性が極めて高い(令和2年8月28日 検察意見書)

さらに、当時大騒ぎとなった日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の逃亡事件を理由に挙げる主張までありました。

検察

弁護人は保釈のための条件として、関係者との不接触、会社への不出社、通話履歴及びメールの送受信記録の提出を挙げているが、それらの条件をもってしても通謀を防ぐことができないのは、日産自動車元会長の海外逃亡によっても明らか(令和2年6月22日 検察意見書)

日産自動車元会長の海外逃亡は、多額の資産を持つ者が極めて特殊な手法を用いて行ったもの。極限的な事例を一般化している。金輪際、全ての被告の保釈の許可ができないことになる(令和2年7月3日 弁護側準抗告申立書)

弁護側

“根拠に欠ける検察主張 安易に認める裁判所”

しかし結果的に、検察の主張が裁判所に認められていました。

相嶋さんたちの弁護を務めた高田剛弁護士は、「検察が根拠に欠ける主張をし、それを裁判官が安易に認めた構図がある」と指摘します。

高田弁護士
「『罪証隠滅のおそれ』は本来、個別、具体的にちゃんと論証しなければならない。抽象的に『なんかやるかもしれないよね』というような判断で認めるべきではない。今回は人の健康や命を軽視していた保釈判断だったのではないか。無実を主張すればするほど身柄拘束が延びるのは、“人質司法”の最たる特徴だ」

保釈認める傾向 現・元裁判官の本音は

無罪を主張すると保釈されない傾向は、データでも表れています。

最高裁判所のまとめでは、おととし、全国で初公判の前に保釈が認められた人は自白事件の場合、29643人中7793人で26.3%なのに対し、否認事件の場合は3689人中449人で12.2%でした。

このため人権団体やえん罪被害者からは、長期間の勾留が自白を求める手段になっているという指摘が出ています。

長期間の勾留の一因となっているのが「罪証隠滅のおそれ」です。
裁判所はなぜ、検察が主張する「罪証隠滅のおそれ」を受け入れるのか。現職や元裁判官に聞くと、「あくまで一般的な考え方」という前提で複数の人が答えました。

ある裁判官は、「検察が起訴したということは、それなりの疑いがある。最終的には無罪になるかもしれないが、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれはあると言えばある」と話していました。

別の裁判官は、「自信を持って『罪証隠滅はない』と言えないので、口裏合わせを懸念する検察官の気持ちもわからなくはない」と話していました。
しかしそれでは、有罪が確定するまで犯罪者として扱わない「推定無罪」の原則に反しないのか

私は、えん罪の可能性について考えないのか聞きました。
するとある裁判官はこう答えていました。
有罪無罪を判断する裁判官は別にいて、保釈を判断する裁判官にとって有罪か無罪かは関係ない。罪証隠滅と逃亡のおそれを重視している。えん罪である人を長期間勾留してしまうのは本当に申し訳ないが、えん罪を主張するのであれば、やはり時間がかかることはしかたない」。

また、実際に「保釈を認めたら証拠隠滅をされたことが何度もある」と話す元裁判官は「実際に被告が裁判に来なかったり、証拠を隠したりした事例があると世間から批判を受ける」と話していました。
裁判が始まるまで、被告の逃亡などのトラブルを避けたいという意識が強いように感じました。

保釈が認められても不可解な理由で覆される

資料の分析を進めると、保釈が認められるチャンスがあったこともわかりました。

いったん保釈が許可され、その5時間後に覆された2020年12月28日です。

このころまでに、裁判を担当する裁判官と検事、弁護士が話し合う「公判前整理手続き」が進んでいました。新型コロナの影響を考慮して被告が出席しない非公式の「打ち合わせ」という形で3回開かれ、争点や証拠が絞られていました。
しかし、覆した裁判官は、裁判担当の裁判官が同意していた「打ち合わせ」という形の「公判前整理手続き」を、「正式な期日が開かれていない」として保釈却下の理由に挙げたのです。

覆した決定書には保釈が認められない理由として、こう書かれていました。

裁判所の決定文から抜粋
「争点に関する立証の予定が明確になったとまでは言い難い。第1回公判前整理手続期日も開かれておらず、罪証隠滅の現実的なおそれが大きく低下したとは認められない」

高田弁護士は抗議したと言います。

高田弁護士
「何度も打合せをして証拠関係の整理がかなり進んでいました。それを形式的に『公判前整理手続期日が開催されていない』と理由に書くのは、信じがたいと思いました。保釈担当の裁判官は何を見て判断したのだろうと愕然としました」

高田弁護士が「明らかに誤解だ」として再度保釈請求をした結果、ともに逮捕された社長と元取締役の保釈がようやく認められたのは2021年2月4日。
相嶋さんが亡くなったのはその3日後でした。

長期勾留の末 “うその自白”促す

相嶋さんが胃がんと診断されたあと、妻は拘置所の面会室でガラス越しに夫と向き合っていました。

面会を重ねるたびに、夫の容体は目に見えて悪くなっていることがわかっていました。

妻はその身を案じ、思い切って“うその自白”を切り出しました。

相嶋さんの妻
「『すべて認めます』って言って、保釈してもらわないと助かる道はないのかなって。私なりに考えて、それが生き残る最後の方法かなと思って。保釈してもらわないとこのまま死んでしまう。絶対に死なせたくなかった。だから『もううそでもいいから認めちゃえば?』と言いました。でも、本人は黙ってうつむいていましたね。やってもいないことをやりましたというのは、自分の自尊心においても許せなかったと思います。(がんが)見つかった時点で、すぐに医療機関に行って、適切な処置を受けていれば、私は生き延びたと思うんですよ。決して手遅れの状態ではなかったと思うんです」

夫は、うつむいたまま何も答えませんでした。

その身に命の危険が迫っていることはわかっていながら、それでも、自分を曲げてうそをつくことはできなかった。妻はそう振り返ります。

犯罪ではなかった

相嶋さんが亡くなってから半年後、初公判の4日前、異例の起訴取り消しの判断が出されました。

相嶋さん、大川原正明社長、島田順司元取締役、逮捕された3人はいずれも実質的に無罪とされ、不当な拘束を受けた補償として「刑事補償」の手続きがとられました。
メーカー側が国や東京都を訴え、今も続いている裁判では、現役の警視庁公安部の捜査員が、捜査について「ねつ造」と証言しました。

取材に対し、2人は捜査や勾留のあり方がえん罪を生み出していると批判しました。

大川原正明社長(左)、島田順司元取締役(右)

大川原化工機 大川原正明社長
「えん罪をなくすためには、無実を訴えるすべての人が捜査機関と対等に闘うことができる環境が必要です。人質司法のもとでは、えん罪はなくならないと思います」

大川原化工機 島田順司元取締役
「潔白が証明されて終わったら1杯やろうねって、それが相嶋さんとの最後の会話になってしまいました。劣悪な環境で拘束され続けて、適切な治療もされない。疑いがあるだけで長期間の身柄拘束が正当化されるような“人質司法”は1日も早く是正してもらいたいと思います」

相嶋さんが亡くなってからまもなく3年。

妻は、このままではまた同じことが起きると危機感を募らせています。

長男は、捜査機関への憤りを口にするとともに、裁判官の存在意義が何だったのか、問いたいといいます。

相嶋さんの長男
「全然犯罪じゃなかったっていうことですよね。それが裁判の前に判明したっていうことで。『警察と検察はなんてことをしてくれたんだ』って思いました。取返しのつかないことしたなって。そういう怒りとか無念さに襲われて、つらい気持ちになりました。
裁判官は今回の事件に限って言うと、事件の本質を理解しないで表層だけなめて保釈の判断をし、存在意義を感じなかった。彼らは根っから犯人だと信じ切っていると思うので、そんなに悪気もないんだと思いますが、もしかしたらやっていない人を勾留しているかもしれないという想像力に欠けていたと思います。きちっと自己検証してほしい」

検証の動きはなし

相嶋さんの死を経ても裁判所内に検証の動きは見られません。

「裁判官は独立して判断し、ほかから干渉を受けることはない」という考えがあり、上訴された場合に高裁や最高裁が改めて審理する以外は個別の判断を振り返ることはしません。

相嶋さんたちの保釈をめぐる判断について裁判所と検察に聞くと、短い回答がありました。

東京地方裁判所
「裁判官の判断に関するのでお答えは差し控える」

東京地方検察庁
「相嶋氏がお亡くなりになり、お悔やみ申し上げます。係争中であることから、お答えを差し控えます」

裁判官からは自戒の声も

一方、「一般的な考え方」として取材に答えた現職や元裁判官からは、これまでの考え方について自戒する声もありました。

「検察が描く筋書きと違うものをすべて、罪証隠滅と認めるのはよくない」

「外国では高齢者を長期勾留する例はあまりない。逃げる心配がなければ、罪証隠滅のおそれを予防して保釈に持っていくという方向に少しは改めていくべき」

同じことを繰り返さないためには…

20年近く刑事裁判に携わり、今は法政大学法科大学院の教授を務める水野智幸元裁判官は、裁判官の独立性を重視しながらも検証の方法を探るべきだとしています。

法政大学法科大学院 水野智幸教授
「保釈を判断する裁判官は請求されるたびに替わるので、そこまで責任感を持てていないのではないでしょうか。前の裁判官が『罪証隠滅のおそれあり』としていると、自分のときに『おそれなし』と判断するのは勇気がいることで、その積み重ねが今の結果となっている。
今回は、罪証隠滅を重視し、被告の不利益に想像力を働かせていない、不適切な判断だったのではないかと思います。
これを痛烈に反省して、なぜこういうことになってしまったのかを裁判官自身が検証すべきだと考えています。改めるべきところは改めないと、今後も同じような悲しい結末を迎える事件が出てきてしまうのではないか。裁判所、あるいは司法に対する国民の信頼が失われかねない」

取材後記

※2023年12月27日・2024年1月15日更新

違法捜査だったなどとしてメーカー側が国や東京都を訴えていた裁判。12月27日、東京地方裁判所は検察と警視庁の捜査の違法性を認め、国と東京都に賠償を命じる判決を言い渡しました。
国と東京都は判決を不服として2024年1月10日、控訴しました。一方、原告側も『捜査の悪質性について踏み込んだ認定がされなかった』として、控訴しました。

真実を明らかにし、犯罪をした人を裁く刑事裁判は適正に行われる必要があります。���罪証隠滅のおそれ」や「逃亡のおそれ」を排除するために、勾留を続けなければならないケースもあると思います。

しかし、まだ有罪か無罪かも決まっていない被告の命・健康と、裁判を円滑に行うことを天秤にかけたときに、保釈のために「うそでもいいから認めてほしい」とまで言わせてしまう今の刑事司法では、その天秤は水平になっているでしょうか。

誰にとっても大切な人生の日々を拘束することの重みを、検察、裁判所がともに省みる必要があると感じます。

(2023年11月29日おはよう日本で放送)

  • 社会部記者 佐伯麻里 2016年入局 
    富山局を経て社会部
    検察担当を経て2023年8月から裁判取材を担当