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臨床の砦

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緊急出版!「神様のカルテ」著者、最新作。

「この戦、負けますね」
 敷島寛治は、コロナ診療の最前線に立つ信濃山病院の内科医である。一年近くコロナ診療を続けてきたが、令和二年年末から目に見えて感染者が増え始め、酸素化の悪い患者が数多く出てきている。医療従事者たちは、この一年、誰もまともに休みを取れていない。世間では「医療崩壊」寸前と言われているが、現場の印象は「医療壊滅」だ。ベッド数の満床が続き、一般患者の診療にも支障を来すなか、病院は、異様な雰囲気に包まれていた。
「対応が困難だから、患者を断りますか? 病棟が満床だから拒絶すべきですか? 残念ながら、現時点では当院以外に、コロナ患者を受け入れる準備が整っている病院はありません。筑摩野中央を除けば、この一帯にあるすべての病院が、コロナ患者と聞いただけで当院に送り込んでいるのが現実です。ここは、いくらでも代わりの病院がある大都市とは違うのです。当院が拒否すれば、患者に行き場はありません。それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?」――本文より。

(2021年4月発行作品)

198 pages, Kindle Edition

Published April 28, 2021

About the author

Sōsuke Natsukawa

11 books479 followers
Kanji Name: 夏川草介.

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Profile Image for Emi.
901 reviews34 followers
August 1, 2021
フィクションでありながら、日々の報道なんかよりもよほど現実がよく分かる本だと思う。
今読んで本当によかったと思うし、まだ読んでない人全員に今すぐ読んでほしい。
65 reviews
November 14, 2021
著者が、今すぐに世の中に出したい、と急いで執筆したのだと思うけれど、他の本に比べて、キャラクターいや物語に厚みが無いように感じた。でも、夏川さんの作品全部に流れている、根本的な人間への信頼と愛は、この本にも充分流れていて、心を包んでくれる
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