子供の頃の思い出。いい匂いのする消しゴムは、思わず食べちゃいたくなったりしませんでした? 駄菓子屋で買う、安くて美味しいガムを想起させるばっかりに。
勉学中に、なぜかお腹が空いた理由はそれだ!

……なんで、こんな事を思い出したんだろう? あぁ、このブツを発見したからだ。業務用あんの老舗である「深澤製餡所」は、“あんの老舗”なのに石けんを開発したらしいのです。その名も『羊羹せっけん』と『大福せっけん』(ともに価格未定)。
とりあえず、画像見てもらえます? こんなにも美味しそうなのに、食べちゃダメなんです。だって、石けんだから。残念ながら羊羹ではないし、残念ながら大福でもない。

しかし、どうしてこんな紛らわしい商品開発に着手したのか? 同社に伺ってみました。
「あんこを作る工程の中、豆の皮は産業廃棄物になっていたんです。しかし我々も小豆に恩恵を受けていますし、ただ捨てるのは忍びないという思いがありまして……」(同社・担当者)
かつては畜産関係の飼料として活用されていた、豆の皮。しかし昨今は“ブランド牛”などが増えていき、飼料として再利用する機会は減っていってしまう。そこで「何かに使えないか?」という思いと「コストを削減したい」という台所事情が合致。何やかんやで「石けん」開発に辿り着いたそうだ。


……いや、その“何やかんや”が知りたい。どうして“あんこ→石けん”という流れになるのでしょう?
「実は当初は、バイオプラスティックとしての活用が候補に挙がっていました。社内のガーデニング好きスタッフからの提案でした。『ガーデニングプランターにすれば、壊れてもそのまま土に帰るのでは?』と予想していたのですが……」(担当者)
しかし強度の問題で、専門家から「無理じゃない?」と物言いが入ってしまったそう。また“食品→食品”という再利用も、衛生面の問題で難しかった。……そういう訳で、化粧品としての再利用に行き着いたそうです。

しかし、あんこの皮って石けんに使えるもんなんだねぇ。聞くところによると、小豆の皮は“潤い効果”や汚れを落とす“スクラブ効果”に優れているらしい。また一方の『大福石けん』は、白いんげん豆の皮を再利用しているとのこと。こちらも、“スクラブ効果”に優れた素材だそうだ。
「また、他にも“桜のエキス”、“お茶エキス”、“ゆずエキス”、“桃の葉エキス”など、美容に良いものを石けんにたくさん入れました」(担当者)
使った人の肌がしっとりするような、お肌にいい成分をふんだんに入れた。

これ、興味ありますなぁ。
……というわけで『羊羹せっけん』と『大福せっけん』を、実際に体験してみようと思います! 取り寄せたのは『羊羹せっけん』の小倉と鶯、『大福せっけん』の紅と白。
「洗い心地はもちろんのこと、“切る”感触も是非味わってください。何だかわかりませんが、微笑んじゃいます!」(担当者)
そんな、オススメされてしまったら……。てな訳で、実際に石けんをまな板に乗せ、サクッとブッタ切ってみます!

さて、まずは『羊羹石けん』の方で楽しもう。……これがもう、完全に羊羹そのもので。手に取ってまな板に乗せると、指先にヌルッと石けんの成分が付くじゃないですか。これ、条件反射で舐めたくなってきちゃうんですよ。危ねぇ、危ねぇ。石けんだってことを、忘れちゃダメよ!
こちらを丁寧に包丁でぶった切ると、羊羹は真っ二つに。あぁ~、いい匂い。石けんの匂いです。じゃあ、手を洗いますよ? ……何かを、発見した。
よく見ると、泡の中に黒いツブツブを見つけることができるんです。これが、まさに小豆の一部らしく。“潤い効果”や“スクラブ効果”は、このツブツブがあるからこそ!

続いては、『大福石けん』で遊んでみたいと思います。……おっ。手に取ると『羊羹石けん』に比べ、遥かに“プニッ!”と柔らかいじゃない。
なるほど。実際の羊羹にはそれなりの固さがあるし、実際の大福にもそれなりの柔らかさがある。それらを意識しているな? 『大福石けん』を包丁で切ると、やっぱり“プニッ!”としているし。それにしても、泡まで食べちゃいたくなるよ!

どちらも12月よりの発売を予定しているらしいから、気になる方はお腹を空かしてお待ちくださいな。
……いや、マズい、マズい。石けんを食べるんじゃなしに、深澤製餡所のあんこを食べつつ、この石けんで手を洗うのが望ましいですよね。
(寺西ジャジューカ)
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