一世を風靡したロックバンド「爆風スランプ」のドラマー、ファンキー末吉さんが8月18日、JASRAC(日本音楽著作権協会)がライブハウスから徴収した著作権���用料の分配について、不透明な運用がされているなどとして、文化庁に調査と改善命令を出すようもとめる上申書を提出した。文化庁の担当者は「事実関係を確認したい」とコメントしている。
末吉さんによると、JASRACによるライブハウスからの使用料の徴収・分配をめぐって、(1)音楽家の利用許諾を不当に拒否している、(2)実際に利用された曲の作詞・作曲者に使用料を分配していない、(3)不透明な運用がなされている−−という認識に至ったという。
上申書の提出後、末吉さんは都内で記者会見を開いた。同席した代理人の弁護士は、今回の上申書について「こちらが正しいと断定しているのではなくて、現時点での認識を文化庁に伝えて、調査のうえ適切な判断をしてもらいたいという趣旨だ」と強調した。
●末吉さん「選択肢のないのが一番の問題点だ」
ライブハウスでの演奏をめぐっては、JASRACは、管理している曲ごとに利用許諾を与えるのでなく、ライブハウスの経営者と包括的な契約を結ぶ方式をとっている。そのライブハウスでどんな曲が演奏されたか特定せず、サンプリング調査をおこなったうえで、作曲家へ分配する金額を算出している。
末吉さんによると、自身がドラマー兼作曲家をつとめるバンド「X.Y.Z→A」で、2000〜2010年の10年間、全国のライブハウスで合計204回のライブをおこなった。ところが、自作の曲を演奏していたにもかかわらず、末吉さんにはJASRACから分配金が1円も支払われていなかったという。
このため、末吉さん側は「JASRACは実際に分配する際の具体的な算定ルールを明らかにしていない」「サンプル店がどのように決められいるか、音楽ジャンルに偏りがないか検証できない」として、不透明な運用がされているという認識を示している。
末吉さんは会見で「個人的な感情だが、(JASRACが)店をかたっぱしから訴訟していく姿、音楽教室から徴収するときの強引なやり方に嫌な思いをしている。八百屋のような普通の商売だったら、態度の良い店と付き合いたい。演奏権はJASRAC独占で、選択肢がないのが一番の問題点だ」と話していた。