「現場」は現実だけじゃない 建設とメタバース融合 データ共通化へ

有料記事科学とみらい

竹野内崇宏
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 古民家の何もない空間にタブレット端末がかざされると、大阪市内の自宅から出席した記者(37)らが、アバター(分身)としてぼーっと浮かび上がった。

 2022年11月、世界文化遺産石見銀山島根県大田市)近くにある古民家で開かれた記者会見は少し変わった雰囲気で始まった。

 集まったのは、テクノロジー開発企業ワントゥーテン(京都市)や、大手ゼネコン大成建設東京都新宿区)の担当者らと、全国各地から参加した記者たちだ。

 ただし、現実の古民家に集まったのは会見者ら。記者は全員アバターで、やりとりも古民家を再現した仮想空間上で行われた。「おばけのようで、面白いですね」と思わずつぶやく参加者もいた。会見中に席を立って、再現された古民家を歩き回り、家の中や外観を見ることもできた。

 会見の目的は、「デジタルツインバース」と呼ばれるプロジェクトの実演だった。建設現場や都市、工場のラインなどを精密に再現し、電子的な双子を意味する「デジタルツイン」と、アバターで交流できる仮想空間「メタバース」を合体させた新しい概念だ。

 移築前を含めて築200年以…

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