毎日更新、書き手は100名以上。社員に愛されるオウンドメディア「en soku!」とは?
はじめまして、エン・ジャパン広報の森本です。「自分の所属している部門内ではコミュニケーションが活発でも、他部門のことがわからない」とか「グループ会社がたくさんあるけれど、それについて知る機会があまりない」といったこと、ありませんか?
その結果、「キャリアの多様性が見えない」や「自社の魅力に気づけない」といったことにもつながります。そこで、社内のコミュニケーション活性化のために、あえて編集会議はしない、社員誰もが自由に投稿できるオウンドメディア「en soku!(エンソク!)」を立ち上げました。
「en soku!」は、社外にも公開する形で2015年7月にスタートしました。毎日2~3本の記事を掲載し、2018年7月までに記事本数は1300本を超えています。記事はレポーターと呼ばれる100名以上の社員が執筆して、投稿しています。
専属のライターや編集者はいないものの、新入社員の9割以上が読んだことがあり、中途社員の8割以上が「en soku!」を読んで志望度が高まったという結果も出ています。
今回は、社員みんなで手作りする社内報「en soku!」のオウンドメディア運営をご紹介します。
社内報がオウンドメディア「en soku!」に生まれ変わるまで
実はエン・ジャパンでは、「en soku!」ができる以前にも「en Japan Times」という社内報をイントラネット(社内限定)で更新していました。しかし、ライター社員1名が業務のスキマ時間を見つけて更新するという運営体制だったため、次のような課題がありました。
- 記事の更新頻度が少なく、サイトが変わり映えしない
- 複数ある拠点の話題や部署の話題が少なく、取り上げるネタが限定的
- 「コメント」や「いいねボタン」もなく、一方的な情報発信で新たなコミュニケーションが生まれない
また「en soku!」を立ち上げた2015年当時、従業員数が単体で800名を超え、グループ企業が続々と増えていたタイミングでした(2018年3月末の従業員数は連結で2534名、単体で1365名)。
会社が大きくなっていくなかで「会社にはさまざまな部署があって、そこで働く人を知ってもらいたい」「社内異動・交流のきっかけを作りたい」「社内のコミュニケーションを活性化したい」という強い思いが社内にありました。
そこで各部署に在籍する社員が、自発的に記事を更新していけば、「自分たちゴトとなり、社員同士の話題のタネになるのではないか?」と考えて、「社員みんなで手作りする社内報」をコンセプトに「en soku!」を立ち上げました。ただ、このコンセプトで行うには、“社員みんなをどう巻き込んでいくか”が重要なポイントになってきます。
そこで、オウンドメディアとして「社外にも公開していく」ことにしたのです。
なぜ社外にも公開することになったのか?
実は多くの社員たちに共通した思いとして、「エン・ジャパンって良い会社なのに、全然外に伝わってない」というものがありました。
たとえば、友だちから「エン・ジャパンってどんな会社かわからない」と言われたり、家族にもなかなか伝わっていなかったり。極端な例では「合コンで“エン・ジャパンで働いている”と言ってもモテない」という男性社員も(笑)。
働く社員が会社への満足度が高いのであれば、それを逆手にとって「自分たちで、自分たちのことを発信していったらいいのではないか?」と考えたのです。
プライベートでは、あたり前のようにSNSを使っている時代です。社員自らが発信者となり「自分たちでコンテンツを作り、自分たちで会社の良さやおもしろさを世の中に発信する」。そうすることによって、社員の家族や知り合いに、エン・ジャパンのことを知ってもらえるのではないかと考えて、社外にも公開することにしました。
運用体制について
こうしてスタートしたわけですが、単にサイトをオープンするだけでは以前の社内報と変わりがありません。
メディアとして運営するからには、「なんのためにやっているのか?」という目的を明確にしておくことも大事です。ただ、私たちが目的としていた「社員がどれだけ楽しみながら更新できているか」「コミュニケーションのきっかけになっているか」は、なかなか数値化しづらいものです。
そこで私たちが唯一定めた指標は、「毎日、必ず楽しい記事が更新されつづけること」です。何よりも大切なことは、書き手みんなの「やりたい」という思い。そこを引き出し、理解を得ていく努力が欠かせないのだと思います。そのために次のようなルールを決めました。
- 記事投稿のハードルを下げて、社員が自ら書いてみて「いいね」をもらう楽しさを知ってもらう
- レポーター(記事執筆者)は挙手制で、やりたい人がやる
- 当番表をつくり、当番日にはレポーターが責任をもって記事公開する
- フリー画像は使わず、自分たちで撮影した画像のみ使用可(開始当初は使用OKな無料素材は可にしていましたが現在はNG)
- 機密情報に触れる内容や画像は掲載前にチェック。公開後に見つかった場合は、一時公開を停止して修正後再公開する
- 投稿権を持つレポーターが執筆して、公開まで担当する
それ以外にもレポーターのために次のようなサポートをしています。
編集&企画会議をやらない
記事投稿のハードルを下げる意味でもまずは書いてもらって、そこにフィードバックをしていくという方法をとっています。
「いま社内で何が起きているの?」「季節に合った話題は?」「この話を伝えたい!」「プライベートや趣味の話題」……。記事として取り上げる話題に細かいルールは設けていません。レポーターそれぞれの視点を大切にしています。結果的にさまざまなテーマでの記事が生み出されていると思います。
また、レポーターのモチベーション維持のために、人気記事をランキング形式で出すこともしています。
メール配信
レポーターのマインドシェアをあげるために、毎日「エンソクメール」をレポーター宛てに配信しています。メールの内容は、前日公開された記事の紹介、ネタに困っているレポーター向けのアドバイスなどです。
特集
サイトに投稿する記事には、TwitterやInstagramのような「タグ」を付けられるのですが、「#きょうのエン」というタグをつけている投稿は、いわゆる特集のような記事です。
100人を超えるレポーターのなかには、エン・ジャパン内でデザイナーとして働く人や自社メディアを運営する編集者のようなコンテンツのプロもいます。そうした編集チームと私たち広報がこのタグで記事を更新することで、書くことに慣れていないレポーターに記事の作り方や画像の使い方を伝える狙いもあります。
缶バッチをプレゼント
サイトは自社内で作ったため、予算はほぼ使っていません。唯一、お金をかけたのが「オリジナルバッジ」の製作費です。と言っても、1万円ほどですが(笑)。
レポーターは社内掲示板とメールで募集し、志願してくれた人に「公式レポーターバッジ」を配布し、さらに記事をたくさん書いた人には追加でバッジをプレゼントしています。集まる楽しさを感じてもらうために、全5種類のバッジをつくりました。
バッチのおかげかどうか定かではありませんが、結果的には、100名以上のレポーターが集めることができ、順調に走り出すことができました。首から下げる社員ストラップにバッジをつけてもらうことで、「あ、あの人、en soku!のレポーターなんだ」と気づいてもらって��コミュニケーションが生まれるきっかけにしてほしいといった狙いもありました。
ちなみに、「en soku!」のネーミングは、次のようなコンセプトとキーワードをもとにしています。
- 社員みんなで「手作り」する社内報
- 社員たちが自発的に、「楽しんでレポート」をしていく
- みんなで「社外」に宣伝をしていく
そのなかで出てきたメタファーが「遠足」です。これが「en soku!」の由来となっています。「遠足」のイメージはライトで親しみやすい、みんなで楽しむもの。サイトデザインも「親しみやすさ」をテーマにしています。
コンテンツについて
社員同士のコミュニケーションを活発にする以外にも、広報をしている私的に「en soku!」はすごく重宝する情報発信&情報収集の場でもあります。
- プレスリリース出すほどでもないけど、言っておきたいこと
- 取材されていないけど、紹介したい自社の名物社員や制度
こういった内容を表現するには、うってつけなんです。
たとえば、こんな風に経営陣の素の表情を見せられるのもen soku!ならではです。
新入社員は9割以上が「読んだことがある」
スタートから3年が経つen soku!ですが、目に見える成果もあがってきました。
たとえば、今年の新入社員は9割以上が「読んだことがある」と回答してくれています。中途入社の社員に行ったアンケートでも、8割以上が「エンソクを読んで志望度が高まった」と回答してくれました。
最近では、社内でネタ探しのために歩き回っていたり、写真撮影をしたりしていると「en soku!ですか?」「私も出たい」と声をかけてくれるようになりました。また、撮影など快く協力してくれます。
なによりもen soku!をきっかけに、私自身が多くの社員やグループのことについて知り、出会う機会になっています。まずは「自分ゴト」として運用していく、それが社内報メディアにとって、とても大切なことです。社内コミュニケーションに課題を感じている方に参考になると幸いです。
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