Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
leanconf2013inagaki
Lean conference
March 05, 2013
Business
6
1.2k
leanconf2013inagaki
leanconf2013inagaki
Lean conference
March 05, 2013
Tweet
Share
More Decks by Lean conference
See All by Lean conference
leanconf2013hiranabe
leanconf
2
250
leanconf2013nishihara
leanconf
1
270
leanconf2013watanabe
leanconf
0
130
Other Decks in Business
See All in Business
もしドラッカーがアジャイルコーチになったら / If Drucker Were an Agile Coach
fkino
2
330
Backlogで1on1を進化させる!メンバーの成長を促すアプローチ
kohsakusaito
PRO
2
150
【metimo】「『似合う』を楽しもう。」
hinalin
0
440
Company deck
tricera
0
240
都庁初!!局DX推進計画策定
tokyo_metropolitan_gov_digital_hr
0
170
Clarity for Product People
arnekittler
0
780
Ampersand Company Profile
cuebicventures
PRO
0
190
DMM TECH VISION 2021~
dmm
0
120
東京都ツキノワグマ目撃等情報マップ
tokyo_metropolitan_gov_digital_hr
0
220
3次元データを用いた差分解析による工事発注への取組
tokyo_metropolitan_gov_digital_hr
0
170
【DearOne】Dear Newest Member
hrm
2
5.9k
Company Introduction Slides
recruiting
0
1.1k
Featured
See All Featured
GraphQLとの向き合い方2022年版
quramy
43
13k
XXLCSS - How to scale CSS and keep your sanity
sugarenia
246
1.3M
Why You Should Never Use an ORM
jnunemaker
PRO
54
9k
Adopting Sorbet at Scale
ufuk
73
9.1k
YesSQL, Process and Tooling at Scale
rocio
168
14k
The Myth of the Modular Monolith - Day 2 Keynote - Rails World 2024
eileencodes
15
2k
The Power of CSS Pseudo Elements
geoffreycrofte
73
5.3k
Responsive Adventures: Dirty Tricks From The Dark Corners of Front-End
smashingmag
250
21k
Building Flexible Design Systems
yeseniaperezcruz
327
38k
Building a Scalable Design System with Sketch
lauravandoore
459
33k
It's Worth the Effort
3n
183
27k
Designing the Hi-DPI Web
ddemaree
280
34k
Transcript
1 リーンが製品開発を革新する 2013年1月
リーン・TOCとのかかわり • NECで生産システム開発(75年~87年) • TPSに衝撃を受け全社にTPS導入(93年) • NECアメリカ駐在(93年~01年) – TOCを日本に紹介 –
「リーンシンキング」翻訳 • 米国系EMSの日本法人(02年~10年) – 「ザ・トヨタウェイ」シリーズ翻訳 • リーン製品開発の日本普及・コンサルティン グ(12年~) 2
リーンの 系譜 1990 1996 2003 2006 2007 2003 2007 2008
2011 2011 2010 2012
共通点 • 小さな「仮説→検証」サイク ルを繰り返す • 安価で速い知識獲得方法
日本の製造業生き残りには... ダントツ商品
日本の製造業生き残りには... ダントツ商品 顧客価値知識
日本の製造業生き残りには... 日本型イノベーション: リーン製品開発 ダントツ商品 顧客価値知識 顧客価値実現のための 技術的知識
リーン製品開発の発見 • アレン・ウォード博士 – MITでセットベース設計を研究 – ミシガン大学助教授 – トヨタを訪問調査 –
リーン開発を体系化 – 2004年事故死 • リーン開発の普及 – 2003年頃から欧米企業に広がるも 博士の死により勢いが低下した – このためリーン生産よりはるかに 小さな運動 8
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
50 198019821984198619881990199219941996199820002002200420062008 機種数 年 0.74機種/年 リーン製品開発導入 ハーレーダビッドソン社での劇的な成果 年間増加機種数が5倍増
リーン製品開発の全体像 10 価値に集中 セットベース 開発 チーフエンジニア 制度 リズム 流れ・プル A3プロセス
効率化・リードタイム短縮 顧客価値理解 技術知識獲得・再利用
11 顧客価値を理解していないと… Wenger giant Swiss army knife 恐怖心から 競合製品 に入ってい
る機能全て を入れる • 使いにくい • 高すぎる • 不要な機能が入っている
顧客価値を理解していれば… 12 Dyson掃除機 OXO計量カップ 美しい 使いやすい 感動する 美しい 吸引力が落ちない 美しい
上から容量が読める
顧客価値を理解していれば… 13 Dyson掃除機 OXO計量カップ 美しい 使いやすい 感動する 美しい 吸引力が落ちない 美しい
上から容量が読める これらの製品はいずれも 顧客に何が欲しいと聞い ても出てこなかっただろう でもスティーブ・ジョブズや ジェームズ・ダイソンのよう な天才的人材がいないと できないのか?
チーフエンジニア(CE) • 起業家的システム設計者 – 顧客価値を深く理解 – 商品コンセプトを規定 – 開発プロジェクトを主導 –
トレードオフを実施 – 儲かるヒット商品を作る • ハイリスク・ハイリターン の職位 14
顧客価値を深く理解する方法 方法 • 体験法 – 北米50州走破(トヨタのCE) • 観察法 – 主婦の調理の様子を観察(O
XO) • 面接法 – 「どんな機能が欲しいか」より 「どんな問題を解決したいか」、 「いつ幸せを感じるか」を聞き 出す 注意点 • 細かいことを見逃さない • 旺盛な好奇心を持つ • 脱思い込み思考 • 顧客の身になって考える (自己移入) • 常に仮説を立てる • 顧客の感情上のマイナス (不快感、不満、問題)やプ ラス(高揚感、幸福感)に敏 感になる 15
セットベース開発 16
ライト兄弟の驚くべき成果 サミュエル・ラングリー ライト兄弟 開発期間 17年 4年 開発費用 70,000ドル 1,000ドル 結果
一度も飛行せず 最初の設計で成功
知識を獲得・記録してから設計 ノートに数表や グラフを記録 実験による知 識獲得と記録 設計 揚力測定器 風洞 抗力測定器 翼模型
翼模型
間違いだらけの製品開発改善 19 構想設計 昔 競争激化 効率化 LT短縮 CAD:効率化 フェーズゲート:管理強化 今
詳細設計 構想設計段階を軽視 手戻りが増える 期待した効果が出ず
間違いだらけの製品開発改善 20 構想設計 昔 競争激化 効率化 LT短縮 CAD:効率化 フェーズゲート:管理強化 今
詳細設計 構想設計段階を軽視 手戻りが増える 期待した効果が出ず
ポイントベースとセットベース開発 21 ポイントベース セットベース 希望的観測による決め打ち 急がば回れ!
セットベース開発の効果 • イノベーションを系統的に 生み出す – 冗長性→リスク低減 • 詳細設計期間・コスト激減 – 手戻りがなくなる
• 開発効率が向上 – 再利用可能知識の蓄積 22 セットベース段階 詳細設計 段階
セットベース開発に必要な知識 • トレードオフ曲線 • 因果関係図 23
設計空間の領域を徐々に狭める 設計空間の 領域の広さ
製品開発での最大のムダは? • 開発中に獲得した知識 を使い捨てにすること • 図面以外の知識は暗 黙知化 • 毎回同じ問題を解決す る
25 獲得した 知識
製品開発での最大のムダは? • 開発中に獲得した知識 を使い捨てにすること • 図面以外の知識は暗 黙知化 • 毎回同じ問題を解決す る
26 獲得した 知識
リーン開発学習システム 文書化され た知識 (A3報告書) • 知識ギャップ発見 • 知識獲得 • 文書化
• 知識整理 • 再利用のために一般化 • 承認 27 トレードオフ曲線・因果関係図 知識ベース 再利用
知識要約 の種類 顧客の関心事 問題 関係 (トレードオフ曲線) 意思決定 情報 提案 A3で知識ベースを作る
これら全てが知識要約に入っている 28
セットベース 知識 設計標準 (チェックシート) A3 知識バリューストリームと 製品バリューストリーム セットベースフェーズ 製品・プロセス設計 試験
立上げ セットベースフェーズ 製品・プロセス設計 試験 立上げ セットベースフェーズ 製品・プロセス設計 試験 立上げ セットベースフェーズ 製品・プロセス設計 試験 立上げ 製品バリューストリーム(チーフエンジニア) 知識で検証 された仕様 Look Ask Model Dialog Act 開発 プロジェクト 開発 プロジェクト 29
安価に知識を獲得する 30 知識の獲得 安価 部分的 低精度 スケッチ モックアップ シミュレーション ラピッドプロトタイプ
部分試作品 バラックセット 製品の検証 高価 全体 高精度 技術試作品 量産試作品
流れ、リズム、プル 31 仮説 試作 検証 インテグレーション・イベント IE IE IE IE
IE 学習完了 全ての知識 ギャップが 埋まっている 代替案絞込 次段階学習計画 To Do Doing Done タスクボード 計画スパン • IE毎に新たな事実が判明 • 次のIEまでしか計画立てず
リーン製品開発でダントツクラブを 開発したピン • 市場では顧客価値がない 「調整箇所の多さ」を競って いる • 最大の顧客関心事に集中 – 遠くに、まっすぐ飛ぶ
• これ以外の機能は思い 切って捨てる • ダントツ性能を狙う – 膨大な実験をする必要なし – リーン開発で蓄積した知識を 再利用すれば実験しなくても ダントツ製品が設計できる 32
距離 スピン 速度 球速 直進性 打球 仰角 エネルギー 移転 重心
ロフト クラブ 速度 慣性 モー メント 空力 特性 質量 質量 分布 フェース 厚み 長さ 経路 ヘッド 打撃 設計 構造 ドライバークラブの 因果関係図 重心位置が最も重要な設計パラメータ 重心が低いと飛距離が伸び、後方だとまっすぐ飛ぶ →重心を低く、後方に移動
トレードオフ曲線を利用して断トツクラブ開発
開発結果 • トレードオフ曲線から大幅な飛距離増大方法発見 – 今回の製品は一部だけ利用 – 次回の製品に飛距離を残した • 一回目の試作で目標飛距離達成(手戻りゼロ) 35
まとめ • ダントツ商品を確実に 開発する鍵は – 顧客価値知識 – 技術知識 • リーン製品開発の効果
– チーフエンジニア • 顧客価値知識獲得 – セットベース開発 • 技術知識獲得・再利用 36 顧客価値知識獲得 技術知識獲得 大 大 知識の再利用に より左へシフト
ご清聴ありがとうございました 37