眠らない街・新宿歌舞伎町にも朝が来る。10時過ぎ、コンビニ前でしゃがみ込んでスマホをいじっている女性2人組に話しかけたら「ちょっと今忙しいので」と遮られた。
ツヤのある黒いダウンジャケットを羽織った男性3人組も「時間? 全然ないですわ」とピシャリ。眠らない街で朝まで過ごした方に “今1番食べたいもの” を聞きたいのだが、やはり朝は朝で皆忙しいらしい。
最後に「トー横」でタバコを吸っている男性(50代)に話しかけてダメなら諦めよう。半ば諦め気味に話しかけてみると……
・トー横にいたオッチャン編
「おおお〜、オッチャンは何でも知ってるよ。この辺りは庭みたいなもんやからね。何が食べたいん? ラーメン? ハンバーグ?」
「写真は勘弁してな。いや足元だけなら別にええけど。顔は写さんといてね」
「で、何が食べたいん? え、オッチャンが食べたいものを答えたらいいん? 待った、ちょっと考えさせてな」
……メチャメチャよく喋るオッチャンである。聞��ば、Uber Eats(ウーバーイーツ)の配達員をしているらしい。どうやら新宿エリアのグルメに精通するプロフェッショナルを引き当てたようだ。話は続く。
・超詳しい
「この辺りで人気があるラーメンなら、えびそば一幻か龍の家やね」「ハンバーグならすぐそこのブラックホール」「まあ、たぶんどこも行列やけどね」
「焼肉なら游玄亭(叙々苑グループの最高峰)やな。ランチでも高いけどな」「縁(ホルモン焼肉)もうまい。あ、えんは “ご縁” の縁ね」「(通りすがりの配達員に向かって)ウィィィィイイイス、気をつけてなァァー」
……止まらない。しかもトー横全体に響き渡るレベルの声量である。私というスピーカーを通して街全体に語りかけているような感じ。
歌舞伎町全体が注目する中、オッチャンは最終的にどのような結論を下すのだろうか。
「まあでも、今1番食べたいのは……」
「サルスベリやな!」
・つけ麺
「サルスベリは新宿三丁目のつけ麺屋、ここ(トー横)から10分くらい歩くけど」「朝ラーは間に合わんか(11時まで1杯500円らしい)」「いや、オッチャンはもう帰るから行かんよ」「いつもこの辺りにいるからまた話しかけてなァァ!」
爽やかにオッチャンと別れた後、スマホで “サルスベリ” を検索。「百日紅」と書いてサルスベリと読むらしい。新宿三丁目駅直結(C2番出口からスグ)で、食べログTOP5000にも選出された超有名店だそうだ。
・麺や 百日紅(さるすべり)
駅直結ビルの地下2階へ。11時2分到着で「朝ラーメン(500円)」は間に合わず。それならってことで、お店おすすめの「煮干つけ麺 特製(味玉・海苔・チャーシュー増し)」を注文。大盛りが無料だったが、今回は並盛りをお願いした。
・煮干つけ麺
カウンターは満席。さすが人気店である。オッチャンの顔を思い浮かべながら待つこと約10分、ついに煮干つけ麺がやってきた。いやいやガチでうまそうだぞ。いただきます……
……最高にうまい。マジでうまいよオッチャン。とろみのある濃厚なスープがもちもちした太麺に絡みつく。つるりとした喉ごしの良さも格別じゃないか。
んで、見た目ほどスープの主張が強くないことに気づく。旨味が凝縮したバランスの良い味わいだ。なかなかない美味しさである。大盛りにしても��かったかも。
煮卵は半熟トロトロ、チャーシューもしっとり柔らかくてジューシー。ついでに言うと、スタッフの方も愛想がよく「また来たい」と思わせる丁寧な仕事ぶりだった。
もちろんラーメン通の方はご存知だろうが、駅近にこんないい店があったとは……次は「朝ラー」狙いで行くか。会社も近いし出勤前にいいかも。
1度話しただけだが、あのオッチャンが好きなのも納得。また歌舞伎町付近でオッチャンに会ったら感謝を伝えたい。皆さんも機会があればぜひ!
・今回ご紹介した飲食店の詳細データ
店名 麺や 百日紅
住所 東京都新宿区新宿3-4-8 新宿三和東洋ビルヂングセゾンプラザB2
時間 7:00〜23:00(平日) / 11:00〜23:00(土・日)
休日 1月1日
執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.