『モンスターハンターワイルズ』開発者インタビュー 「武器鞄」や「集中モード」の詳しい仕様、ハンターとアイルーが喋ることについて聞いた
オトモの声はオプションで人語とアイルー語が切り替えられる
「モンスターハンター」シリーズの最新作となる『モンスターハンターワイルズ』の最新映像がSummer Game Fest 2024にて公開され、さらに期待が膨らんでいるという人も多いだろう。刻一刻と変化する自然や、より広大になったフィールド、シームレスにゲームプレイとつながるカットシーンなどがフィーチャーされている本作。今回、カプコンはオンラインにて『モンスターハンターワイルズ』のメディア合同インタビューを実施した。
公開されている要素のさらに詳しい内容や、過去作から変化した部分について、以下の3名から話を聞くことができた。
- シリーズプロデューサーの辻󠄀本良三氏
- ディレクターの徳田優也氏
- アートディレクター兼エグゼクティブディレクターの藤岡要氏
なお、本インタビューにて言及されている「メディア向けゲームプレイ映像」についての詳しい内容が知りたい方は「『モンスターハンターワイルズ』メディア向けゲームプレイ映像でわかった7つのポイント」という記事を参照してほしい。
自然の荒々しさを描く「ワイルズ」での狩猟生活
――本作の『モンスターハンターワイルズ』というタイトルにはどういった意味が込められているのでしょうか。
辻本:本作は、「モンスターハンター」の世界であったりとか、生態系であったりというものをより詳細に描いていきたいということがコンセプトになっています。
そして、そういったものを描いていけばいくほど、自然の荒々しさみたいなものもしっかりと描く必要が出てきた。過酷な自然に飛び込んでいく勇気や、ワクワク感みたいな部分をイメージして、ちょっと荒々しさも感じるような「ワイルズ」というタイトルにさせていただきました。
――映像ではフィールド上にキャンプを設営しているシーンがありました。これは具体的にどういった仕組みになっているのでしょうか。
徳田:マップの中にいくつか設営のための候補地があり、そのうち決められた数だけキャンプを設営することができます。設営にリソースを支払わせるかどうかについてはまだ調整中です。
「ワールド」のキャンプとの違いとして、今回はモンスターにテントを壊される可能性があります。キャンプ候補地はモンスターと接触しやすく利便性が高い分、モンスターに壊される可能性のある場所や、逆に利便性は低いけれども、モンスターに壊されない安全な場所というのも用意しています。
設営したテントを解体してまた別の場所に設営したりといったことも可能なので、たとえばすべてのキャンプを安全な場所に置いて安定したプレイを目指すこともできます。決められた数だけ設営できるテントをどこに配置するのかというのもプレイスタイル次第ですね。
――刻一刻と変化する環境を利用して狩りを有利に運ぶことが本作のフィーチャーのひとつになっていると思います。私はゲームで環境攻撃をするとき、どこに何があるのかあらかじめ把握していないとうまく使えないことが多いのですが、「このギミックは今使えそうだ」とプレイヤーにアドリブ的にわかってもらうための誘導はどのように行っていますか。
徳田:まず、あらかじめ把握できる部分として、本作はマップ画面の中にフィールドのギミックに関する様々な情報が記載されています。記載されている情報は、現在の状況だけではなく、少し先の状況までわかるようになっています。
そして、現場で起こっていることをわかりやすくするための工夫としては、狩りに同行してくれるオトモと編纂者の存在があります。彼らはただついてくるだけではなくて、「あれ今使えそうだよ」ということをボイスで教えてくれるため、そういった面でも気づきの量が増えると思っています。「導蟲」が使えるギミックのところに飛んでいってハイライトをしてくれたり、ギミックの名称が表示されたりというのも「ワールド」に引き続き本作にもあります。
新アクション「集中モード」と「武器鞄」の詳しい仕様
――開発者向けのゲームプレイ映像にて、「集中モード」の発動中にモンスターの弱点が赤くハイライトされ、そこに「弱点集中攻撃」というアクションを行っているシーンがありました。集中モードや弱点集中攻撃というのは具体的にはどのような操作を行うシステムなのでしょうか。
徳田:集中モードはトリガーを押すことで発動できるモードで、武器の構えが変わり、画面にカーソルが表示されます。その状態だと、カーソルの方向に対してガードや攻撃を簡単に繰り出すことができます。特にアクションゲームがちょっと苦手で、攻撃を当てるのが難しいという方でも攻撃を当てやすくなるシステムになっています。
本作のモンスターは、攻撃を受け続けると、その部位に対して傷ができていきます。それが弱点となる形です。傷に対しての攻撃はダメージ量が上がるので、積極的に攻撃していきたいというシステムですね。
集中モードでは、そういった弱点となる部分を赤くハイライトすることもできます。「弱点集中攻撃」は、現状R1ボタンにアサインされているのですが、その弱点集中攻撃を弱点に命中させることで攻撃が派生していき、さらなるダメージを狙っていけるというシステムになっています。
――「アイスボーン」のように「クラッチクロー」を使わなくても、通常の攻撃で傷をつけることが可能なんですね。
徳田:はい。武器の攻撃でもできますし、モンスター同士の争いでも傷ができます。落石とかを当てにいってもできますね。
――今回、2つの武器を狩猟中に切り替えられるようになる「武器鞄」というシステムが追加されました。映像では遠距離武器と近距離武器の2個持ちをしていましたが、たとえば近距離武器と近距離武器のような組み合わせのときにはどのような組み合わせを想定しているのでしょうか。
徳田:武器鞄は、遠距離武器と近距離武器はもちろんですが、同じ武器種でもメイン武器とサブ武器として入れることができます。たとえばハンマーを2種類入れるということもできるということですね。この場合、たとえばサブ武器には麻痺属性のハンマーを入れて、麻痺をさせたあとによりダメージの出るメイン武器のハンマーに切り替えて攻撃していくといったプレイも可能です。
もしくは、切断系の武器と打撃系の武器を組み合わせれば、打撃系で気絶を狙って、切断系で尻尾を斬って、というような連携も可能です。
――従来のように1つの武器を使い続けるというようなプレイをするよりは、やっぱり武器鞄でガンガン武器を切り替えていこうという想定なのでしょうか。
徳田:サブ武器自体は、武器鞄を入手した時点で設定されてはしまうのですが、もちろんメインの武器だけを使って、スイッチをしないという遊び方はプレイヤーの選択肢としてはあります。
藤岡:2つ使わないとクリアできないようなギリギリの難易度に設定しているとかではないです。
「喋らない主人公」に感じていた不自然さ
――本作では、ストーリー中のカットシーンで主人公のハンターも喋るようになりました。主人公が自我を持って喋るということは、やっぱり従来のシリーズと比べて、プレイヤーの感情やロールプレイとの乖離も起こりやすいのではないかと思うのですが、その部分はどのように意識をして制作されているのでしょうか。
藤岡:本作で主人公が喋るようになったのは、主人公により個性をもたせようという方向性というわけではありません。
やっぱりストーリーを描いていくとなると、主人公だけがずっと喋らないというのはどんどん不自然になってきているなということを「ワールド」のときから感じていました。「何か聞かれたら返事ぐらいするでしょ」と思うし、主人公が取るべき行動のときに何かしら言葉を発するというのは最低限ストーリーを語るうえで必要だろうということで今回セリフを入れることにしました。
なので、主人公が軸になってどんどん喋っていくというような方向で考えているわけではなく、いろんな人たちとの関わり合うストーリーのなかで、主人公がしっかりと反応を返すことで、むしろ自分がそこに参加しているという没入感を体験していただけると思っています。
辻本:ちなみに、今回オトモアイルーが人語で喋ることについて気にしている方も結構いらっしゃるんですけど、オプションで従来のアイルー語にも設定できるようにしています。
徳田:従来の「ニャーニャー」という声が良いという方はぜひオプションから変えられるので試してみてください。
ただ開発としては、人語のボイスで遊んでいると、人語のオトモにどんどん愛着が湧いてきて……。いろいろなことを教えてくれるのですごく便利というところもありますし、助けてくれる相棒感というところも増しています。オプションで簡単に切り替えられるのでぜひ人語の方も試していただければと思っています。
『モンスターハンターワイルズ』は、PS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)にて2025年に発売予定だ。公式サイトはこちら。