【ガンダムビルドファイターズ連載】完結記念!ガンプラ好きの作者とモデラーが語るビルド外伝(その1)
月刊ガンダムエース(毎月26日発売)連載のガンダムビルドファイターズ外伝『ガンダムビルドファイターズA-R(アメイジング レディ)』がついに完結!
本連載『ガンダムビルドファイターズD-R』も、これをもって終了です。そこで今月は、漫画担当の今ノ夜きよし先生、シナリオ担当のスタジオオルフェ 千葉智宏先生に加え、Hi-νガンダムヴレイブをはじめメカニックデザインと作例を手がけたNAOKI氏、クランシェ★アスタなどの作例を手がけたフクダカズヤ氏、ゴーストジェガンなどの作例を手がけた朱凰@カワグチ氏による座談会を敢行! モデラーとして心に残る名場面から、ガンプラトークまでをたっぷり語る座談会! まずは前編をお届けします!
キット化にも恵まれた、まさにガンプラファンのための外伝作品
ガンダムビルドファイターズA-R/D-Rの楽しみ方
編集部――三代目メイジン・カワグチを幼少時代から描いた『ガンダムビルドファイターズA』(以下、BFA)の続編として、メイジン時代のタツヤと世界大会を描いた『ガンダムビルドファイターズA-R』(以下、BFAR)がついに完結となります。
千葉:BFAは『ガンダムビルドファイターズ』の外伝ですが、ほかの外伝と違うのは、オリジナルの主人公ではなく三代目メイジン・カワグチとなるユウキ・タツヤを主人公にして展開したところです。当初のプロットは黒田(スタジオオルフェ 黒田洋介氏:『ガンダムビルドファイターズ』、『同トライ』はじめ数多くのシナリオを手がける)が作っていて、それをベースに広げていきました。
――そして、BFAと同時に電撃ホビーマガジンでは模型中心の外伝『ガンダムビルドファイターズD』(以下、BFD)が、BFARになってからは電撃ホビーウェブにて本連載『ガンダムビルドファイターズD-R』(以下、BFDR)が連載されます。
千葉:今日はモデラーさんにも来ていただいていますが、BFA、BFDの頃にガンプラ付録になった「マーキュリーレヴ」や、NAOKIさんのデザインによる主役機「Hi-νガンダムヴレイブ」、「アメイジングストライクフリーダムガンダム」など、キット化された機体が多く連動感の高い企画になりました。主役機もそうですし、後に「ディナイアルガンダム」となって『ガンダムビルドファイターズトライ』に登場する「カテドラルガンダム」もBFA登場機体ですね。
NAOKI:時系列としては、カテドラルガンダム(BFA)→ガンダムシュバルツリッター(BFAR)→ディナイアルガンダム(『ガンダムビルドファイターズトライ』)となります。当初はディナイアルガンダムの過去の機体ということで「カテドラルガンダム」をデザインしたわけですが、まさかその後「ガンダムシュバルツリッター」まで登場するとは(笑)。
今ノ夜:いずれもキャラが立った機体ですよね。
千葉:キット化された機体もよかったし、それとは別に、作例として面白いものもありました。たとえばフクダさんの「ニャイアアストレイ」。物語の中では、おかしくなったタツヤがヤナとカイラに“ぶん殴られ”て目が覚めるという、いい場面で登場しました(BFA第5巻)。「ニャイアアストレイ」自体、「コマンドアストレイ」と「ニャイアガンダム」のニコイチで作ったという構想の作例で、物語でうまく活かせたこともあって、好きですね。
フクダ:当初、「アストレイを素材にして新しいニャイア系の機体を」というお話があって。製作している時は劇中でどのように登場するのか知らなかったんですよ。ベース機体のコマンドアストレイ“らしさ”としては、ハードポイントを増やしたところでしょうか。「アメイジングウェポンバインダー」も劇中で活躍しています。
――フクダさんの作例は「ニャイアガンダム」や「ニャイアアストレイ」、最近では「クランシェ★アスタ」など変形が魅力ですよね。これからガンプラでオリジナルの変形を作ってみたい! という読者もいると思います。どうやって考えているんですか?
今ノ夜:フクダさんは「変形アイディアノート」を持っているんですよね?
フクダ:あ! アレは僕しか分からない殴り書きとかを描き溜めたもので……学生の頃に描いていたものもありまして。だいたいは、そこから発掘したりブラッシュアップしています。実物をいじっているわけではありません。
今ノ夜:ガンダムエースでフクダさんと対談したことがあって、“フクダ動物園”がいかにしてできたかを話しました。『ダヴィンチコード』の話もおもしろかった。
フクダ:ニャイアガンダムの頭の構造は、『ダヴィンチコード』に登場する「クリプテックス」から発想しました。ダイヤルをくるくる回して最後に箱が開くシーンがあるのですが、ダイヤルがそろっている状態が猫の顔、バラバラの状態がバックパックになるという発想です。
――普段からアイデアを溜めておいたり、一度見たギミックから発想したりと面白いですね。一方で、実はNAOKIさんがデザイン/製作した機体や、「アメイジングレヴ」もギミックによって複数のモードを楽しめます。
千葉:バックパックが鳥になったりね。
NAOKI:ガンダムビルドファイターズの世界って、とても自由ですよね。でも、自由ってすごく困る。
一同:笑
NAOKI:何をやってもいいけれど、何らかの制約みたいなものがあると、そこでデザインを作りやすい。たとえばプレイバリューを上げていくといったことです。商品化される機体であれば、単にベース機体から形が変わりましたというのではなくて、そこにプレイバリューを持たせたい。そこで先ほど言われたような“形態”を残しておきたいなと考えました。造形をしながらデザインをしているわけですが、パーツを組み合わせたら「なんだか鳥っぽいな」というところから始まったりしています。
千葉:最初から鳥にしようとしたわけではない?
NAOKI:Hi-νガンダムヴレイブに関しては、違いますね。鳥っぽいなと思ったところから「これを鳥にするにはどうしたらいいんだろう」と思って、脚を付けたりしていきました。
千葉:漫画でも、Hi-νガンダムヴレイブで鳥になっているので、その後レヴシリーズは「ピピッ」と鳴いています。
今ノ夜:そして最後の最後で(笑)(月刊ガンダムエース7月号掲載最終回参照)
NAOKI:劇中でも効果的に使ってくださったので嬉しかったですね。どのように使われるかは考えないというか……自由に使っていただきたくて。漫画が上がってきたときに「こういう活躍をするんだ!」と。面白く使っていただいてありがとうございます(笑)。
千葉:いえいえ(笑)。逆に、我々から「物語でこういう風に使いたい」とオーダーしたのがゴーストジェガンMUXIMUMです。
朱凰@カワグチ:そうですね。もともとは、BFDRで、手軽に組み替えてオリジナルの機体を作ろうというテーマもありました。
千葉:初心者でも記事を参考にして、自分なりに楽しめる/作れるものを提供していこうと。
朱凰@カワグチ:接着剤を使わないで、いかに組み替えをして遊べるかを考えて、最終的に3パターンを出しました。
千葉:ゴーストジェガンMとFは色が違いますが、ニコイチにしてワザと色が違う組み合わせにしてある。その発想のおかげで、劇中でも現場でレナート兄弟が組み替えるという演出になりました。
フクダ:レナート兄弟らしいエピソードですよね。現場で組み替える。
朱凰@カワグチ:レナート兄弟なら、壊れたらきっと現場で改修するだろうと思って、現地改修らしさを出したくて、敢えてカラーリングを変えずそのまま組み合わせました。
フクダ:太モモにサーベルラックを付けているのもカッコいいですね。
朱凰@カワグチ:ここに関しては接着するか穴を開けて差し込まないといけないし、可動範囲も狭めてしまうのですが、カッコよさを優先させました。またこの部分は特に、初心者の方に一歩踏み出していただければ……という思いもあります。接着をしたことがない方や穴を開けたことのない方には、最初はちょっと抵抗があるかもしれないけれど、ぜひ挑戦してみてほしいです。穴を開けて差し込めば、サーベルラックが動くので、太モモの可動をそれほど邪魔しませんし。あと、肩に別キットの余剰パーツを軸に使って簡単にシールドを取り付けているだけですので、こっちも試してほしいですね。
――ガンプラで標準的な3mm径の穴の場合はそのまま差し込めますもんね。多少緩かったりキツかったりしたときは、少し加工してあげればいい。そのあたりはBFDRの過去の記事でも紹介しています。
加工の話が出たところで、次はプロモデラーの皆さんに、材料や工具の話を聞いていきたいと思います。
(その2に続く)
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