2024.11.14
「トランプ再選」に落胆する「リベラル」がまったく理解していない、世界中で生きづらさを抱える人が急増した「驚きの原因」
ふつうに生きていたら転落するーー! あまりに残酷な「無理ゲー社会」を生き延びるための「たった一つの生存戦略」とは?
作家の橘玲氏が、ますます難易度の上がっていく人生を攻略するために「残酷な世界をハックする=裏道を行く方法」をわかりやすく解説します。
※本記事は橘玲『裏道を行け』(講談社現代新書、2021年)から抜粋・編集したものです。
作家の橘玲氏が、ますます難易度の上がっていく人生を攻略するために「残酷な世界をハックする=裏道を行く方法」をわかりやすく解説します。
※本記事は橘玲『裏道を行け』(講談社現代新書、2021年)から抜粋・編集したものです。
リベラル化で実現した生きづらい社会
「リベラル化」というのは、「自分らしく自由に生きたい」という価値観で、第2次世界大戦後のとてつもなくゆたかで平和な社会しか知らない若者たちを中心に、1960年代後半のアメリカ西海岸で始まった文化・社会運動(カウンターカルチャー/ヒッピー・ムーブメント)だ。
それがたちまち世界じゅうの若者を虜にし、パンデミックのように広まっていった。これはキリスト教やイスラームの成立に匹敵する人類史的な出来事だが、その巨大な影響力をわたしたちはまだ正しくとらえることができていない。
リベラルな社会では、「わたしが自由に生きるのなら、あなたにも自由に生きる権利がある」とされる。この自由の相互性によってあらゆる差別は許容されなくなり、女性や有色人種、性的少数者など、これまで社会の片隅に追いやられてきたマイノリティに平等な権利が与えられることになった。
これはもちろん素晴らしいことだが、光が強ければ強いほど影もまた濃くなる。
社会のリベラル化が進み、誰もが「自分らしく」生きるようになれば、教会や町内会のような中間共同体は解体し、一人ひとりがばらばらになっていく。これによってわたしたちは法外な自由を手にしたが、それは同時に、自分の人生のすべてに責任を負うことでもある。
リベラルな社会では、人種や身分、性別や性的指向などにともなう差別はなくなるはずだから、最終的には、あらゆることが「わたしの選択」の結果、すなわち自己責任になるだろう。
誰もが自由に生きられる社会では、至るところで「わたし」と「あなた」の利害が衝突する。東京オリンピックで、男から女に性転換したトランスジェンダーの重量挙げ選手の出場をめぐって議論が紛糾したことはその象徴だ。