辻真先さんが語る、てんやわんやのテレビ草創期 戦後大衆文化史を体現するレジェンドに聞く〈上〉 後藤隆基 立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター助教 辻真先さん、91歳。NHKでテレビドラマ制作に携わった後、脚本家に転じ、『鉄腕アトム』をはじめ、膨大な数のアニメ、特撮の脚本を執筆してきました。小説では1972年にミステリー作家デビュー。2020年『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』は、その年の「ミステリランキング」3冠に輝き、いまも新作が次々刊行されています。卒寿を超えた「レジェンド」にして、バリバリの「現役」、辻さんのインタビューです。戦後日本の大衆文化史総まくりの様相を呈する「辻真先・大宇宙」のほんの一端ですが――前編は草創期のテレビドラマ狂騒曲を。 生まれたばかりのテレビの現場で ――辻さんは名古屋大学を卒業後、1954年にNHKに入られました。ここから、現在まで連なる戦