破壊から再生。ポストモダン思想のループから抜け出すためにも真剣に近代を議論しよう。近代社会の本質的な特徴は、「個人の水準に全面的な主体性が認められること」だ。しかし、このような主体性の理想は、実際は哲学や形而上学の思念のうちにしか存在してこなかったのです。たとえばの話ですが、私が好きを貫き通して大学院に進み、学者を職業にすることは、実は全面的に主体的であるとは言えないのです。私たち人間は社会の中で生きています。ということは社会の様々な規範や制度の内に知らず知らずのうちに生きていることになります。私たちは毎日学校にいったり仕事にいったりしている。これも社会の一つの制度です。 ということは、「私が、学者を職業に選ぶ」という自分の好きを基準に自己決定で選択したと私が思っている行為も社会における職業という社会制度のなかで私が選択した行為ということになり、社会制度の枠外で選ばれた行為ではないわけです