最近は、さまざまな企業が「ハッカソン」や「アイデアソン※」を開催している。これらはもともと、IT業界を中心に盛り上がっていたが、徐々に一般的な大手企業や地方自治体でも行なわれるようになり、ITに限らず商品開発や地域活性化に活かされてきている。
今回、飲料メーカーのダイドードリンコがアスキーとのコラボレーション企画としてアイデアソンを開催。大阪を中心としたIT系ベンチャー企業に参加者を募った。よく知られれている飲料メーカーが、もともと関わりがなかったエンジニアを招き、アイデアソンを実施した目的とは何なのか? 当日のレポートを含めて紹介する。
※アイデアソンとは――「アイデア」と「マラソン」を組み合わせた造語。テーマに沿って問題やアイデア出しをし、グループでディスカッションをしながら1つのアイデアに絞っていき、ブラッシュアップして発表する一連の作業。
「自販機」にどういうことができる?
未来につながる可能性を模索したい!
アイデアソンを開催するにあたり、ダイドードリンコが抱える課題について、コーポレートコミュニケーション部の梅垣真哉さんが説明した。
ダイドードリンコ梅垣真哉さん――飲料業界の平均では自動販売機(以下、自販機)による販売は30%程度のところ、当社は80%程度をも占めており、自販機ビジネスを積極展開しています。売上で缶コーヒーが50%程度占めているのも、自販機チャネルの比率の高さが影響しています。街中や憩いの場にある自販機は飲料が手軽に買えると重宝されていました。
ただ、流通網の発達や淹れたてコーヒーを飲める店舗の増加、そもそも国内の人口が減少など、飲料を提供するという自販機の価値が低下してきているのではと危惧しています。
最近は、新しい取り組みとして自販機とスマホアプリとを連携させる「Smile STAND(スマイルスタンド)」を展開しており、購入に応じてポイントが溜まったり、プレゼントが当たったりするサービスを提供しています。対応自販機が拡大すれば、どういう人がどんな時間に買っているかというマーケティング情報が取得でき、今後の販売計画や商品開発などに活用できるはずです。
こうやって試行錯誤しているわけですが、今回のアイデアソンでは、みなさんに未来の自販機を考えていただきたいです。飲料にとらわれず、28万台の自販機を使った面白いアイデアが生まれればと思います。
……ダイドードリンコの強みは全国に28万台所有しているという自販機。そこで、さまざまな付加価値を提供してきている。前述の「Smile STAND」の他、ルーレット機能や、各地の方言でおしゃべりする自販機、インバウンド向けの4ヵ国語対応の自販機など。常に自販機の可能性を模索している。
飲料メーカーや自販機とまったく関係のない異業種なら、社内では想像もつかない自販機ビジネスのアイデアが出てくるかもしれない。そんな期待が、今回のアイデアソン開催の動機だそう。いますぐビジネスにならなくても、従来の考え方を打破する原動力。そんなヒントが、アイデアソンで出てくると望むところのようだが、いったいどういう展開になるだろうか。