ソフトバンクロボティクスが23日、同社のヒューマノイドロボット「Pepper」について報道陣に異様な案内を送りつけた。ソフトバンク元社員で現GROOVE X代表取締役の林 要氏をPepperの生みの親と表現しないよう求める内容だ。
案内によれば林氏はソフトバンク在籍時にPepper開発リーダーであった事実がないにも関わらず、技術開発の責任者であるかのような呼称を使っていたという。つまり林氏がメディア出演時、同社における経歴を詐称したというものだ。
林氏が登場する記事には、
「『ペッパー』が呼び寄せた異能の”トヨタマン”ソフトバンクに飛び込んだ勇気と自信」(東洋経済オンライン)
「Pepperの父・林要さんの新会社『GROOVE X』が作るロボットとは?」(ロボスタ)
「孫正義氏を激怒させたPepper元開発リーダーが、その叱責に学んだ『仕事でいちばん大切なこと』」(ダイヤモンドオンライン)
「さらばソフトバンク『ペッパーの父』退社の真相」(日経カレッジカフェ)
「Pepper元開発リーダー林要氏が描く『ヒトとロボットが“共創”する未来』」(IBM)
などがある。
初めにあげた東洋経済の記事は2014年ソフトバンク在籍当時のもので「世間を驚かせたヒューマノイドロボット『Pepper(ペッパー)』の開発リーダーである」との記載がある。林氏は2015年にソフトバンクを退職した際、Facebookにも「Pepper開発リーダーとしての役割も終える事となります」と書いていた。
ただし、ソフトバンクでは2014年8月掲載の広報記事「愛のあるロボット『Pepper』の開発」において、林氏を「同社で『Pepper』の開発リーダーを務めるプロダクト本部 PMO室 室長の林 要」と紹介していた。
本件については林氏にも事実関係を問い合わせ中。以下全文。
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報道関係各位
ソフトバンクロボティクス株式会社の人型ロボット「Pepper」に関する表現についてご認識いただきたいことがあり、以下の通りお願い申し上げます。
元弊社社員であり、GROOVE X株式会社の代表取締役である林 要氏についての報道において、林氏をPepperの「父」「生みの親」「(元)開発者」「(元)開発責任者」「(元)開発リーダー」などと呼称することで、あたかも林氏が弊社在籍当時Pepperの技術開発の責任者又は中心的存在であったかのような印象を与える表現が散見されます。
しかしながら、林氏が弊社又はソフトバンク株式会社に在籍中に、Pepperに関して、企画・コンセプト作りやハード又はソフトの技術開発等、いかなる点においても主導的役割を果たしたり、Pepperに関する特許を発明したという事実はございません。また、事実として、当社またはソフトバンク株式会社のロボット事業において「開発リーダー」という役職や役割が存在したことはありません。
従って、林氏にPepperの「父」「生みの親」「(元)開発者」「(元)開発責任者」「(元)開発リーダー」等の呼称を用いるのは明らかな誤りであり、お客様や投資家の皆様等に対しても間違った印象を与えかねず、Pepper事業のオーナーである弊社といたしましても看過することはできません。
これまでも弊社は数回にわたって事実と違った呼称を使わないよう林氏サイドに対し申し入れを行ってまいりましたが、改善がみられないため、今回改めて前述の認識についてメディアの皆様にお伝えさせていただくことにいたしました。
メディアの皆様におかれましては、今後林氏について報道される際は、「Pepperプロジェクトの(元)プロジェクトメンバー」など、Pepperの技術開発の責任者又は中心的存在であったかのような印象を与えない呼称を使用していただきますようお願い申し上げます。
ソフトバンクロボティクス株式会社
代表取締役社長 兼 CEO 冨澤 文秀
撮影:chinnian