説明書を読まなくても使い方がわかるのが、iPhoneの魅力であり強みです。しかし、知っているつもりが正しく理解していないこともあるはず。このコーナーでは、そんな「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」をわかりやすく解説します。今回は、『「SIMカードなし」のiPhoneは緊急電話できる?』という質問に答えます。
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iPhoneは携帯電話としての機能を備えるため、ここ日本では電気通信事業法に基づく制約を受けます。電気通信事業法 端末設備等規則 第28条の2には、「移動電話端末であって、通話の用に供するものは、緊急通報を発信する機能を備えなければならない」と定められ、国内で販売されるすべての携帯電話には緊急通報機能の装備が求められます。ロック画面に「緊急」ボタンが用意され、ロック解除することなく特定の番号 -- 110(警察)と118(海上保安)、119(消防および救急)の3種類 -- にかけられるのはそのためです。
しかし、日本国内での利用に関していうかぎり、SIMカードを抜いた状態では緊急電話をかけることができません。ダイヤルの画面を表示することはできますが、ダイヤルしても呼び出し音は鳴らず反応しません。この仕様はソフトバンク、au/KDDI、ドコモのいずれで契約したiPhoneも同様です。
日本でSIMカードなしの緊急電話ができない理由は、非アタッチ状態(携帯電話通信網に接続していない状態)での電波送出が法律上認められていないことにあります。SIMカードを抜いたiPhoneは非アタッチ状態ですから、ここ日本では緊急発信を求められない、だからSIMカードを抜いた状態では緊急電話をかけることができない、ということになります。
外国では事情が異なり、SIMカードを抜いた状態でも緊急電話をかけることができます。音声通話を開始(発信)する際には認証用の加入者IDが必要ですが、SIMカードがなければ加入者IDは参照できません。しかし、iPhoneなど第3世代対応端末の場合、緊急発信専用の手続きに対応しているため、一部の国ではSIMカードを抜いた状態でも緊急電話することが可能です。