米Googleが米Appleの「Safari」ブラウザーを通じてユーザーのオンライン行動を追跡していたことが判明し、物議を醸している。この問題を受け、3人の米下院議員が現地時間2012年2月17日、米連邦取引委員会(FTC)に対してGoogleの調査を要請する公開書簡を送った。
両党プライバシー幹事会共同議長であるEdward Markey氏とJoe Barton氏、監督および調査に関する下部委員会議長であるCliff Sterns氏は、Safariが「iPhone」「iPad」「iPod Touch」「Mac」に搭載されていることから、多数のユーザーが影響を受けた可能性があると強い懸念を示している。
この問題は、米スタンフォード大学セキュリティ研究所の大学院生が公表した調査結果から明らかになった。同調査によると、GoogleはSafariのプライバシー設定を迂回し、ユーザーのWeb履歴を追跡していたという。Safariを含む多くの主要ブラウザーはサードパーティーのクッキーを拒否するオプションを備えているが、Safariはデフォルトでこのオプションを有効にしている点が、他の主要ブラウザーと異なる。サードパーティーのクッキーとは、ユーザーが訪問しているWebサイトのクッキーではなく、広告ネットワークなどの第三者が発行しているクッキーを指す。スタンフォード大学によると、Safariでは特定の条件下で、サードパーティーのクッキーがこのオプションをすり抜けられるようになっている。Googleのほか、米Vibrant Media、英WPP傘下のMedia Innovation Group、米PointRollも同様にユーザーの行動を追跡していたことを、同調査で確認している。
米Wall Street Journalによると、Googleは「Googleにサインインしたユーザーが有効にしている機能を提供するために、Safariの既知の機能を使った」と説明しているという。さらに同社は「これらの広告クッキーでは個人情報を収集していない」と強調した。
一方Appleは米CNET News.comの取材に対し、「一部サードパーティーがSafariのプライバシー機能を迂回していることは認識している。当社はこれをやめさせるために取り組んでいる」とコメントした。
また米InfoWorldはGoogleがFTCから莫大な罰金を命じられる可能性があると報じている。GoogleがFTCと昨年合意したプライバシー問題に関する和解条件では、違反1件につき1万1000ドルの罰金が科せられる(関連記事:「Google Buzz」のプライバシー侵害を巡るGoogleとFTCの和解が成立)。
なお米消費者保護団体のConsumer WatchdogもFTCに捜査を要請する書簡を送っている(Consumer Watchdogのプレスリリース)。